プレスリリース 独立行政法人 理化学研究所
脳科学総合研究センター次期センター長に利根川進MIT教授
平成20年3月27日
 独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)は、利根川進マサチューセッツ工科大学(MIT)教授(理研フェロー※1/ハワード・ヒューズ医学研究所研究員※2)を脳科学総合研究センターの次期センター長に内定しました。任期は2009年4月1日から2013年3月末日までを予定しています。利根川教授はセンター長として、同センターの運営を担いますが、MIT教授として、今まで通りMITで研究を行います。
 なお、甘利俊一現センター長は、2008年3月末日で任期を満了し、センター長職から退きます。2008年4月1日から利根川教授が就任するまでの1年間は、田中啓治領域ディレクターが副センター長としてセンター長の職務を代行します。また、利根川教授には引き続き、特別顧問を委嘱する予定です。


1. 脳科学総合研究センターの概要
 理化学研究所脳科学総合研究センター(RIKEN Brain Science Institute、以下BSI)は、わが国の脳科学研究の中核的機関として、総合的かつ戦略的に脳科学研究を実施するため、1997年に国内外から優れた研究者・技術者を結集して発足しました。記憶・学習のメカニズムや臨界期の分子機構の解明、アルツハイマー病をはじめとする神経変成疾患の病因解明など、脳神経科学分野に世界的なインパクトを与える成果をあげるとともに、国内外の大学などに多くの優れた人材を送り出してきました。
 BSIの初代センター長、伊藤正男前センター長(現BSI特別顧問)は、同センターを世界的に認められた国際的な研究機関とするため、すべて任期制の職員で構成され、厳しい評価制度を設け、外国人研究者を2割とするなど、わが国の科学技術システム改革の先導役を果たしてきました。
 甘利俊一現センター長は、伊藤顧問の後を継いで2003年にセンター長に就任し、BSIの役割を明確化するとともに、研究員約300名を含む総勢500名を越えるスタッフを有する世界有数の脳科学の研究拠点へと成長させました。最近では、理研BSI−トヨタ連携センターをBSI内に設置する(2007年12月14日お知らせ)など、産業界との連携も積極的に推進しています。
 利根川教授は、MITにおいて、理研-MIT脳科学研究センターのセンター長を務め、BSIとの共同研究の中で記憶・学習に関する研究を10年にわたり実施し、マウスの海馬の特定の神経回路を可逆的に制御する技術の開発など世界的な成果を上げています。この功績などから、理研は2007年に利根川教授に理研フェローを授与しています(2007年7月6日プレス発表)。
 BSIは、1997年の設立から10年の間に、「脳を知る」、「脳を守る」、「脳を創る」、「脳を育む」の4領域の研究を展開してきました。2008年度からは、これらの各領域の融合性を高め、今後の脳科学で中心的な課題に取り組むため「心と知性への挑戦」、「回路機能メカニズム」、「疾患メカニズム」、「先端基盤技術研究」の4つのコアに組織を再編成し、MITをはじめとした国内外の研究機関と連携を深めつつ、先導的な研究を実施していく予定です。


2. 利根川進MIT教授略歴
< 略歴 >
1939年 愛知県生まれ
1963年 京都大学理学部卒業
1968年 カリフォルニア大学サンディエゴ校博士課程修了(Ph.D.)
1969年 ソーク研究所(ポスドク) 利根川進
1971年 バーゼル研究所 主任研究員
1981年 マサチューセッツ工科大学(MIT) 教授
1988年 ハワード・ヒューズ医科学研究所 研究者
1998年 理研-MIT脳科学研究センター センター長
2002年 MITピカワ研究所 所長
2007年 理研フェロー/BSI特別顧問

< 業績 >
1984年 文化勲章
1987年 ノーベル生理学・医学賞 受賞


(報道担当・問い合わせ)

独立行政法人理化学研究所 広報室 報道担当

Tel: 048-467-9272 / Fax: 048-462-4715
Mail: koho@riken.jp


<補足説明>
※1 理研フェロー
理研フェローは、世界的に傑出した実績と見識を有し、理研ブランドの創出にかけがえのない科学者に対して、研究所として敬意を表して授与する称号。利根川進MIT教授が第1号。
※2 ハワード・ヒューズ医学研究所研究員
ハワード・ヒューズ医学研究所(Howard Hughes Medical Institute, HHMI)は、非営利の医学研究機構であり、米国で最も大規模な慈善団体の1つとして、米国における生物医学分野の研究および科学教育の推進において主導的役割を果たしている。HHMIの第1の使命は、生物医学分野の基礎研究の推進である。その目的のために、60を超える全米の大学、医療センター、その他研究機関と連携している。また、約300名にのぼるHHMI研究員と2,000名を超える研究スタッフがこれらの連携研究機関に設けられたHHMIの研究室で働いている。中でもバージニア州ロウドン郡にあるHHMIのジャネリアファーム研究所は、多様な分野の研究者を結集するため特別に設計された研究施設で、ここでの研究プログラムでは、トップクラスの研究者達が、リスクは高いが、期待できる成果も大きい研究を行っている。HHMIの研究者は、その独創性と生産性の高さが有名で、全研究員のうち122名が全米科学アカデミーの会員。現在までに12名の研究者がノーベル賞を受賞している。

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