身の回りにあった木や骨、石を道具として活用しはじめたことが、ヒトを“人間”にした、といわれるほど、人間と道具は切り離すことができません。人類の長い歴史の中、道具が、人間の脳の知的活動などに大きな影響を与えることで、文化が生まれました。
このように、道具を使う行動は、ヒトの高次な認知機能と密接に関連するとされ、その脳内メカニズムを分子レベルまでさかのぼって解明する研究に期待が高まっています。一方で、人間以外のサルやカラスも餌をとるために道具を使っている様子が観察され、他の動物では・・・? という状況が続いていました。
理研脳科学総合研究センター生物言語研究チームと象徴概念発達研究チームは、南米のアンデス山脈に生息している齧歯類(げっしるい)でネズミの1種の「デグー」が、訓練を重ねると道具を複雑に操作して餌をとるようになることを発見しました。これまで、齧歯類は、道具を使う能力がないとされていただけに、大きな衝撃となりました。
研究グループは、小さな熊手を与え、ただ単に餌を引き寄せて獲得できるばかりか、熊手を餌の外側に配置しても、ぐるりと回りこんで引き寄せるなどの複雑な操作をして、道具としての機能を発揮させて活用する訓練に成功しました。
複雑な認知機能が脳でどのように獲得されているのか、という大きな疑問に答えることができる、モデル動物が誕生したことになりました。
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