植物は、動物のように自由に動き回って危険を回避したり、よりよい生育環境を求めたりすることができません。その代わりに、直接外界と接している表皮細胞が形や大きさを変えて器官をつくり、 生育環境に適応していきます。たとえば、葉や茎には、棘のようなトライコームを形成して害虫や紫外線から身を守ります。根っこには根毛を生やして、土中の水や栄養分を効率よく吸収します。
このトライコームや根毛の形成を制御する遺伝子を調べていた植物科学研究センターの機能開発研究グループ機能発現研究チームは、新たにシロイヌナズナの表皮細胞分化に関与する遺伝子として、「CPL3」遺伝子を見いだしました。これまで発見していた同様の3種の遺伝子と組み合わせて働きを調べると、4つの遺伝子の機能を失った4重変異体では葉や胚軸の表皮細胞がほぼすべてトライコームで覆われた異常な表現型を示しました。
また、「CPL3」遺伝子の突然変異体が、植物の成長や開花時期を調節していることも発見しました。花芽形成まで野生型で37日かかるところを、変異体は29日と早咲きになりました。逆にこの「CPL3」遺伝子を過剰に発現させると、花芽形成まで41日とやや遅咲きになることがわかりました。さらに、変異体では葉が大きくなり、 「CPL3」遺伝子を過剰に発現させると逆に矮小化してしまうことも明らかとなりました。
今回発見した遺伝子の機能を農業作物に応用すると、作物の生産性向上を促進することになると期待できます。また、外来遺伝子の導入によらず植物を大型化できることから、商業化に際しての問題も解決することになります。
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