プレスリリース 独立行政法人 理化学研究所
北京大学と連携大学院、仁科スクールを設置する戦略的協力協定を締結
- 包括的な研究協力から、更なる連携強化を目指し第一歩を歩む -
平成20年2月28日
 独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長、以下「理研」)と北京大学(許智宏学長、以下「北京大」)は、2008年2月28日、中華人民共和国北京市の北京大で、同大学と連携大学院プログラム、原子核物理を中心とした研究教育を展開する戦略的協力協定を締結しました。これまでの協力実績を踏まえ、幅広い分野において極めて優秀な学生を多数有する北京大と本協定を締結することにより、今後さらなる連携強化を目指し、北京大から野依理事長に対して名誉教授号が授与されるのを機に、新たな協定の締結に至ったものです。本戦略協定は、連携大学院プログラムと仁科スクールの設置からなり、締結後5年間有効です。
 これまで北京大と理研との研究交流は、研究者間の交流を中心として行ってきましたが、本協定をもとに連携大学院プログラムがスタートすることで、研究者間を越えた機関間協力がスタートします。連携大学院プログラムでは、理研初の試みとして北京大に理研特別留学生枠を設けます。この新たな試みに対し、研究教育交流の活性化に向けて大きな期待がもたれるとともに、長期的に優秀な若手研究者を育成することは、研究者の裾野を広げ、アジア地域全体の研究活動のさらなる発展に貢献すると確信されています。
 一方、発足する仁科スクールは、連携大学院プログラムの発展的形態のひとつとして、日本と中国の原子核物理や関連分野の研究教育連携強化の拠点となるもので、理研、北京大両者の協力により設置します。世界に冠絶する理研加速器施設を活用し、学生のみならず、研究者間の研究教育交流を長期的に継続することにより、10年、20年後にノーベル賞受賞者を輩出するような業績をあげることを目標とします。当面は、理研の加速器施設を活用した研究教育プログラムを実施し、将来的には北京大学の拠点を理研内に設置する計画です。
 協定締結後、セミナー・シンポジウム開催などでさらに両機関間で交流を深め、2008年9月より同連携大学院プログラムで学生の受入れを開始、それに伴い仁科スクールも開校予定です。


1. 本戦略協定締結へ至った経緯
 理研は、北京大と2001年にアジア連携大学院に係る協定を締結して、これまでに延べ3名のアジアプログラム・アソシエイト(APA)※1を受け入れ、2名が博士号を取得、1名が、現在も理研で研究を行っています。さらに、2007年には同大学物理学院との間で、国際プログラム・アソシエイト(IPA)※2に係る協定を締結し、仁科加速器研究センターが1名をIPAとして受入れをはじめ、北京大との交流の幅を広げてきています。
 また、原子核物理分野においては、20年にわたり北京大をはじめ中国内の研究機関から招聘を展開しており、理研に滞在経験を持つ研究者が育ち、すでに北京大などで所長、教授を務めるに至っています。こうした努力が理研・中国との研究協力の一層の発展につながっています。最近では、2006年に、前理研BNLセンター長T.D.Lee博士(1957年ノーベル物理学賞受賞者)の支援のもと理研―北京大―CCAST(中国高等科学技術センター)のシンポジウムを北京大構内のホール等で開催するとともに、これを機会に北京大を中心とする55機関が参加する中国核物理協会と加速器科学に関する覚書を締結するなど、加速器科学分野で、北京大と密接な協力を続けています。
 連携強化による優秀な若手研究者の育成及び研究交流の活性化は、世界トップレベルの研究への貢献には必要不可欠であると判断し、今回の協定締結に至りました。


2. プログラムの概要(締結内容を含む)
○ 連携大学院プログラム
  • 北京大に特別連携大学院生(IPA)枠を設け、各年、6〜7名の学生を採用します。3年後以降には最大20名の大学院生が理研に滞在します。
  • 北京大院生は、博士課程前半2年間を北京大で講義の単位を取り、後半3年間を理研において学位取得のために研究活動を行います。
  • 本プログラムは2008年9月から開始します。
  • 受入れ費用の分担については、北京大(国家留学基金によるもの)と理研で原則として等分するものとします。
  • 理研からの推薦に基づき、理研の研究者を北京大の客員教授あるいは客員准教授に任命します。
  • 学生の選抜を北京大が行い、希望に基づき理研で受け入れを検討します。
  • プログラム学生の監督のため、北京大担当教員を共同指導教官に任命します。

○ 仁科スクール

  • 連携大学院プログラムの発展型として理研、北京大両者の協力により仁科スクールを設立し、原子核物理等の研究教育連携強化の拠点とします。
  • 相互の協議の下で、仁科スクールの代表者は北京大から、副代表は理研研究者から任命します。
  • 北京大から現場責任者を選任し、現場責任者は理研に長期滞在して研究教育を行います。
  • 北京大の教官はスクール運営の為、必要に応じ一定期間理研に滞在します。
  • 将来的に理研内に北京大理研支所を設置することを検討します。
  • 原則として、教官・研究者派遣側が旅費、受入れ側が滞在費を負担しますが、北京大理研支所が設置された場合の同支所運営にかかる費用は北京大負担とします。


3. 北京大学の概要
 中華人民共和国北京市に1898年に設立した大学で、物理学院、化学・分子工程学院、生命科学学院を含む41学院、5学部、101学科、244の修士学科、201の博士学科から成る中国最高峰の総合大学です。学生数は約30,000人、国際交流が活発で世界の200以上の名門大学と学術交流を結んでおり、留学生は世界96ヶ国から約4,000名(2003年)が学んでいます。


4. 理研の中国拠点の整備(中国事務所準備室の設置)
 理研は、海外研究拠点の拡充、各機関との連携強化のため、アジア地域(シンガポール、中華人民共和国)に連絡事務所を設置しました。2006年4月にシンガポール連絡事務所が開所したことに続き、2006年9月から中国事務所準備室が活動を開始しています。中国事務所準備室は、現在中国政府からの事務所設立認可に向けて調整中です。
 中国事務所準備室は、これまで理研と現地の大学・研究機関との共同研究等の促進活動を実施してきました。今後は、これらの活動に加え両国の優位性を生かした共同の研究拠点の構築、分野、機関など多様な階層における研究者のネットワーク化など新たな取り組みにより、研究交流を一層拡大していくことを目指しています。


5. その他海外大学との研究協力
 理研では個々の研究者間の研究協力を基盤として、現在では世界各地の機関との活発な機関間協力をおこなっています。マックスプランク協会(独)、パスツール研究所(仏)、中国科学院(中国)を始めとする世界トップレベルの研究機関(35カ国140機関(2007年3月末現在))、特に海外大学に限定するとMIT(米)、ハーバード大学(米)、カロリンスカ医科大学(スウェーデン)など世界的な一流大学(22カ国42大学)と研究協力協定を締結しています(2007年9月末現在)。また、連携大学院の協定を締結している大学数はAPA制度で6カ国6大学、IPA制度で3カ国4大学となっています。
 また、理研の海外研究拠点として、理化学研究所RAL支所(英)、RIKEN-MIT脳科学研究センター(米)、理研BNL研究センター(米)の3支所があり、研究交流を盛んに行っています。


(問い合わせ先)

独立行政法人理化学研究所
  総務部  次長 横田 元秀 (よこた もとひで)

Tel: 048-467-9298 / Fax: 048-462-1554

(報道担当)

独立行政法人理化学研究所 広報室 報道担当

Tel: 048-467-9272 / Fax: 048-462-4715
Mail: koho@riken.jp


<補足説明>
※1 アジアプログラム・アソシエイト(APA)制度
理研が、2001年にアジア諸国との研究交流及び若手研究者の育成のために整備した制度。アジア地域で連携する大学院博士課程に在籍し、将来、研究指導者となって長期的な研究協力に貢献することが期待される優秀な若手研究者を理研が受け入れ、それらの人材の育成を行うことにより、今後、アジア地域における研究推進のためのネットワークを構築することを目指す。アジアプログラム・アソシエイト(APA)は理研から3年間を上限として、滞在費や宿泊費等の支給・補助を受けることができる。現在、連携大学院協定を締結している大学は、プサン国立大学(韓国)、カセサート大学(タイ)、国立交通大学(台湾)、北京大学(中国)、ハノイ科学大学(ベトナム)、マレーシア科学大学(マレーシア)の6校。これまでAPA制度を9名の学生が活用し、学位を取得している。(うち、2名は取得中)。現在、在籍しているAPAは4カ国・地域から5名。
※2 国際プログラム・アソシエイト(IPA)制度
2006年に理研がアジアプログラム・アソシエイト制度での実績をふまえ、世界規模での国際力増強戦略の一環として整備した制度。国内外の大学院との連携国際スクール協定・覚書に基づき、それぞれの博士課程に在籍する外国籍大学院生を客員理研教員が受け入れ、大学との協力により、今後の科学技術の発展に貢献する優秀な人材の発掘及び育成を行い、将来、国際的な研究推進のためのネットワークを構築することを目的とする。国際プログラム・アソシエイト(IPA)は、理研から3年間を上限として滞在費や宿泊費等の支給・補助を受けることができる。現在、連携大学院協定を締結している大学は北京大学物理学院(中国)、西安交通大学(中国)、ガラーチ大学(ルーマニア)の3校。現在、在籍しているIPAは5カ国から8名。


戦略的協力協定を締結


野依理事長に名誉教授号を授与


調印式会場の北京大学

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