ヒトES細胞から視細胞へ:既知の因子のみを用いた分化誘導に世界で初めて成功
- 胎児網膜を使わずに20〜30%の高効率の分化を達成 -
PRESS RELEASE HIGHLIGHT
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ヒトES細胞から分化した網膜色素上皮細胞と視細胞の写真 ES細胞(胚性幹細胞)は、生体のすべての組織を生み出すことができることから「万能細胞」とも呼ばれ、再生医療や薬品開発への応用が期待されています。また、2007年11月には、ヒトの皮膚細胞からES細胞と同じような能力を持つ「iPS細胞」を生み出すことに京都大学の山中伸弥教授らが成功して世界を驚かせるなど、世界中で万能細胞の研究が急速に進められています。
 理研発生・再生科学総合研究センターの網膜再生医療研究チームらは、光を感じる神経細胞である「視細胞」をヒトES細胞から20〜30%という高効率で分化させることに、世界で初めて成功しました。
 網膜疾患や失明の原因の一部は視細胞や網膜色素上皮細胞の変性にあるため、変性した網膜に視細胞を移植する再生医療の実現が期待されています。研究チームは、以前からES細胞から視細胞や網膜色素上皮細胞を生み出す分化誘導法の確立に挑戦してきました。すでにマウスのES細胞から網膜の前駆細胞に分化する方法は明らかにしていますが、網膜前駆細胞を視細胞へ分化するには、胎児の網膜と共培養する必要がありました。今回、胎児網膜を使わず、成分が明らかな条件で視細胞を得る新たな手法を確立しました。
 今後、この方法から得られる視細胞を、ヒトの疾患治療に活かすためには、モデル動物を使ってその視機能を的確に評価する方法の開発や、有効性や安全性などを詳細に調べることが不可欠となり、さらなる研究の積み重ねが必要です。研究チームでは、引き続きこれらの問題の解決に取り組んでいきます。
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