生命多様化のエンジン:組み換え酵素「Spo11」の活性化機構を解明
- 有性生殖や生命多様性の起源に重要な手がかり -
PRESS RELEASE HIGHLIGHT
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CDKとCdc7によるMer2のリン酸化:遺伝的組み換え開始の統合的制御 細胞に核を持つ真核生物の生殖細胞の多くは、交配の前に染色体数が半減する減数分裂を行います。交配では、父方染色体、母方染色体が一組ずつ結びついて一つの細胞を生み出し、生命をつないで行きます。
 減数分裂では、DNAの複製につづいて、父方染色体、母方染色体のDNAの切りつなぎ(遺伝的組み換え)が起こります。このとき父親由来、母親由来の遺伝子が混ざり合うことになります。その後、二つの細胞に分裂、さらに第二の分裂で、それぞれ組み換わった一つの染色体だけを持った精子や卵となります。組み換えは、子孫の遺伝的多様性を高めることから、非常に重要な生命現象とされていますが、何がどのように関わって組み換えが進んでいくのか、詳しい機構は謎のままです。
 理研中央研究所柴田上席研究員研究室、東京大学、東京都臨床医学研究所らの研究グループは、この減数分裂の過程で起こる遺伝的な組み換えの鍵を握る酵素「Spo11」が活性化する仕組みを解明しました。解明した仕組みは、DNAの複製開始を制御するタンパク質リン酸化酵素「Cdc7キナーゼ」が、 Spo11とともに働く「Mer2」という因子をリン酸化し、このリン酸化がSpo11とその補助因子を、組み換えのホットスポットに誘導し、遺伝子を切断しながら一連の組み換えを開始するというメカニズムです。有性生殖の基盤となる重要な遺伝的組み換えがどのように開始するのかを明らかにした成果であり、生命の多様性の起源に手掛かりを与えました。DNA組み換えの制御を用いた有用遺伝子の高速進化や新世代遺伝子工学など、新たなバイオ技術への展開が期待できます。
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