電子の流れで磁性体のスピンの向きを反転させる
- スピン流を用いたメモリーなどの次世代電子素子が大きく前進 -
PRESS RELEASE HIGHLIGHT
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図は(上)ローレンツ像の模式図と(下)パーマロイ磁性細線の実際のローレンツ像 キロ(103)、メガ(106)、ギガ(109)と、私たちが気軽に扱うことができる情報量は、巨大化しています。これに伴って、メモリーカード、スティックメモリー、光ディスク、ハードディスクなどの情報を記録する媒体は、めまぐるしく世代交代しています。
 この大量な情報を一瞬に記録する方法には、「微細な磁石で、書き込み、読み出しを制御する磁気記録素子」を活用することが、現在のコンピュータの基本の1つとなっています。この際、磁化の状態を制御して変更したり、状態を読み出したりすることで、情報を読み書きします。この磁化の制御には、磁場による反転を自在に行えることが必須となります。
 ところが、記録媒体に詰め込む情報が、大容量化し、微細化するにしたがって、磁化を反転するための磁場は大きくなるため、現在の磁化制御法では、やがて限界に達してしまいます。この壁を破る手法として、「磁性体に電流を通すと、流れる電子のスピンに応じて磁化が変化する現象」を活用する「スピントロニクス」が注目されています。
 理研フロンティア研究システム量子現象観測技術研究チームらは、微細に加工した磁性体細線に、外部から微弱な磁場を加えながら電流を送り、スピンの向きを自由に切り替えることに世界で初めて成功しました。用いた磁性体細線は、幅500nm、厚さ30nm、長さ40μmのパーマロイ磁性細線で、数Oe(エルスレッド)の微弱磁場を加えながらパルス電流を送ると、磁化が逆さに変わることを見出し、この現象を透過型電子顕微鏡を使って直接観測しました。今回、スピン流によって磁化の状態を不安定にして、磁化を反転することに成功したわけですが、これは、電流を送り込むだけで微細な磁性素子への情報記録を可能にする新たな手法を見出すこととなりました。この成果は、スピン流を使った次世代のスピントロニクス素子の動作原理の1つになると期待できます。
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