脳の神経細胞「ニューロン」の形と大きさを決める仕組みを解明
- 樹状突起の大きさや形態の形成に3つのタンパク質が作用 -
PRESS RELEASE HIGHLIGHT
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knot遺伝子の有無によるニューロンの形態変化。左は野生型、右はknot遺伝子を失活させたニューロン 脳には、情報処理のために特別に分化した神経細胞のニューロンが、およそ1,000億個ほど集結し、独特な神経回路網を創りあげています。この回路が、体の各所から届く大量の情報を処理することにより、脳が正常に機能します。この脳の重要な構成要素であるニューロンは、多数の樹状突起と呼ばれる細長い突起を伸ばし、周囲のニューロンと結合して、情報を受け取っています。この樹状突起の形態が、それぞれのニューロン特有の機能を特徴づけています。したがって、樹状突起の形態形成を制御する仕組みがわかれば、神経機能や精神疾患のメカニズムの解明が期待できます。
 理研脳科学総合研究センター病因遺伝子研究グループムーア研究ユニットは、ショウジョウバエの神経系の「da neuron」と呼ばれる感覚ニューロンを使って、樹状突起の形態形成に、Cutタンパク質、Knotタンパク質、Spastinタンパク質の3つのタンパク質が関わっていることを発見しました。分岐数と樹状突起の大きさによって4つのクラスに分けたニューロンの転写因子を調べると、分岐数が多く、樹状突起がとくに大きなクラスWのニューロンだけに、Knotタンパク質と呼ばれる転写因子が存在することがわかりました。このKnotタンパク質を発現するknot遺伝子が欠失すると、クラスWのニューロンは小さくなりました。さらに、このKnotタンパク質を調べると、 「微小管」の形成を制御していることがわかりました。Knotタンパク質は、微小管構造の形成促進によって樹状突起を大きくしていることが示されました。
 これらの発見は、ヒト遺伝性痙性対麻痺などの神経疾患や回路形成のメカニズムの解明に貢献すると注目されます。  
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