プレスリリース 独立行政法人 理化学研究所
国立大学法人北海道大学
理研中央研究所・北大電子科学研究所が「分子情報生命科学」を推進
- 初の連携研究室型となる連携協力協定を締結 -
平成19年12月13日
 独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)の中央研究所(茅 幸二所長)と、国立大学法人北海道大学(佐伯 浩総長)の電子科学研究所(笹木敬司所長)は、連携研究室型による「分子情報生命科学」の推進に関する協定を2007年12月13日、理研・東京連絡事務所(東京・千代田区)で茅、笹木両所長出席のもと、締結します。
 協定書に基づいて、両者が持っている先端研究の高いポテンシャルを相互に活用し、共通のテーマである「複合領域ナノサイエンス」研究を展開するとともに、将来にわたり、新しい研究領域・研究分野の開拓やその推進を担い得る人材の育成を目指します。
 さらに、本連携を基軸に、理研は連携研究部門を強化し、大学連携、産業連携、国際連携などのさらなる展開を図るとともに、北大は国内外の研究所間の連携を強化することになります。本協定の有効期間は、5年間です。
 連携の形態は、埼玉県和光市の理研中央研究所内に「北大電子研連携研究室」を開設し、理研長田義仁特任顧問をリーダーとする「分子情報生命科学特別研究ユニット」と協力して、ソフト&ウエット型バイオ運動素子とその材料系を創製し、生体組織代替運動システムにまで応用することを目的とした共同研究を開始します。
 また、北大電子科学研究所は、これまでに、光科学、分子科学、生命科学およびそれらを支える数理科学が融合した「複合領域ナノサイエンス」の開拓に取り組んできており、今回の連携に伴い、理研が展開しているナノサイエンスとの融合、交流などを積極化し、研究のさらなる活性化を図っていきます。本連携開始によって、双方の人的・物的資源の積極的な活用化が図られ、理研の進展に大きく貢献するとともに、北大電子研の進める「複合領域ナノサイエンス」そのものにフィードバックしていくと期待されます。


【研究協力の概要】

1. 共同研究
 理研分子情報生命科学特別研究ユニット(長田 義仁ユニットリーダー)の分子機械分野および分子情報分野の研究推進に、それぞれ北大電子研の居城邦治教授が客員主管研究員として、上田哲男教授が客員研究員として参画し、分子材料分野などの他分野との共同研究を通じて、運動性タンパク質の階層的構築に注目し、ナノマシンの製作、自律分散情報ネットワークの構築を行います。
 具体的には、分子機械分野では、北大電子研が推進する「北海道イノベーション創出ナノ加工・計測支援ネットワーク」プロジェクト※1の支援のもと、ナノ構造体上に筋肉の生体運動素子を自己組織化的に融合し、ナノマシンの構築を進めます。さらに、ナノマシンに生体で得られる制御機構を組み込み、センサーと判断機能を備え、かつ生体となじむナノマシンを創製することにしています。さらに、これらの知識を結集させ、生体内を自律的に移動できるナノインテリジェントムーバーを作製し、がんの除去や薬剤を病巣へ送達するなどの新規治療法の開発を行っていきます。
 分子情報分野では、粘菌の自律分散的な情報ネットワークの構築能力の解明を行います。巨大なアメーバ様細胞である真正粘菌は、迷路を解くなど、時々刻々と変化する状況にも対応して、最適な最短ルートを見つけ出すという賢さを示す機能を持っています。このような自律分散情報アルゴリズムを、細胞内に張り巡らされた複雑な代謝分子ネットワークが創発する(非平衡開放系における)時空ダイナミクスと、その多様な動的状態間の遷移現象として解明していきます。これによって、ナノマシン運動の自律分散的制御を試み、例えば社会問題化している交通網の渋滞の解決手法の開発に応用していきます。
 本協定は、双方の人的・物的資源の積極的な活用により、理研分子情報生命科学特別研究ユニットの進展を強力に推進するとともに、北大電子研が進める「複合領域ナノサイエンス」の展開に知見がフィードバックし、研究がさらに活性化すると期待できます。


2. 人材交流
 理研内に設置される連携研究室および北大電子研が展開する「北海道イノベーション創出ナノ加工・計測支援ネットワーク」プロジェクトを通じ、教職員や研究職員などの人材交流を積極的に推進していきます。


3. 研究交流
 北大電子研連携研究室の活動を核として、理研中央研究所と北大電子研との共同研究を創出し、新たな連携・協力の枠組みの構築を目指します。


4. その他
(1) 北大電子研から教授2名が客員研究員(うち1名は客員主管研究員)として研究に参画します。月に数回、理研に出向くとともに、インターネットを利用したネット会議システムを通じて連携研究室の研究員とディスカッションし、研究を進めていきます。
(2) 北大電子研では、博士研究員2名を雇用して、連携研究室に配置し、研究を推進していきます。また、理研も博士研究員数名を雇用する予定にしています。
(3) 分子情報生命科学特別研究ユニット
分子機械分野
テーマ:自律分散制御型ナノマシンの構築
分子情報分野
テーマ:粘菌をモデル生物とする自律分散的分子情報システムの解明


【調印式の開催概要】

1. 名称 「独立行政法人理化学研究所中央研究所と国立大学法人北海道大学電子科学研究所との間における連携・協力の推進に関する協定書」調印式
2. 開催日時 2007年12月13日(木)  13:30〜14:30
3. 会場 独立行政法人理化学研究所 東京連絡事務所
出席予定者 独立行政法人理化学研究所 中央研究所長 茅  幸二
理事 大熊 健司
特任顧問 長田 義仁
国立大学法人北海道大学 電子科学研究所長 笹木 敬司
理事・副学長(研究、産学官連携等担当)

岡田 尚武
理事・副学長(教育研究組織等担当)

林  忠行


(問い合わせ先)

独立行政法人理化学研究所
 フロンティア研究システム
  創発機能アジア連携研究チーム
   チームリーダー 原 正彦(はら まさひこ)

Tel: 048-467-9600 / Fax: 048-462-4630
国立大学法人北海道大学
 電子科学研究所
  電子機能素子研究部門分子認識素子研究分野
   教授 居城 邦治(いじろ くにはる)

Tel: 011-706-9360 / Fax: 011-706-9361
  電子機能素子研究部門細胞機能素子研究分野
   教授 上田 哲男(うえだ てつお)

Tel: 011-706-2887 / Fax: 011-706-4967

(報道担当)

独立行政法人理化学研究所 広報室 報道担当

Tel: 048-467-9272 / Fax: 048-462-4715
Mail: koho@riken.jp
国立大学法人北海道大学 電子科学研究所
 庶務係長  藤井 幹彦(ふじい みきひこ)

Tel: 011-706-3355 / Fax: 011-706-4977


<補足説明>
※1 北海道イノベーション創出ナノ加工・計測支援ネットワーク
2007年度に採択された文部科学省先端研究施設共用イノベーション創出事業【ナノテクノロジー・ネットワーク】のことで、北海道大学と千歳科学技術大学が有する先端的な研究施設・機器の共用を進め、イノベーションにつながる成果を創出することを目指す。



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