ある種の植物は、暑さや寒さ、水辺や乾燥地などに関係なく、芽を出し根を伸ばして、たくましく育ちます。激しい環境の影響もさることながら、昆虫や動物に葉や根を食べられるとともに、常に病原菌の脅威にもさらされています。
こうした厳しい状況でも、じっと我慢して育っているように見える植物ですが、実は私たちと同じように独自の免疫システムを持ち、さまざまな病原菌と戦う強さを備えています。特に、病気に強い植物は、病原菌を認識する「免疫レセプター」を持っており、その侵入を認識すると、速やかに防御反応を働かせて撃退します。
理研植物科学研究センターの植物免疫研究グループは、免疫システムで主役を演じている免疫レセプターが安定して働くためには、タンパク質「SGT1」と「HSP90」の結合が必須であるなどの制御機構を明らかにしました。
研究グループは、これまでに、免疫レセプターの機能には「RAR1」、「SGT1」、「HSP90」という3つのタンパク質の複合体が重要であること突き止め、これらタンパク質のうち1つでもその機能を失ってしまうと、免疫レセプターの量が激減し、さまざまな病原菌に感染しやすくなることを明らかにしました。しかし、このタンパク質の複合体がどのように免疫レセプターを制御しているのかは、謎でした。今回、研究グループは、 「SGT1」タンパク質に着目し、立体構造と機能を解析しました。その結果、「SGT1」タンパク質の一部が、片側に「HSP90」、もう片側に 「RAR1」を結合し、サンドイッチ状の構造であることを発見しました。また、 「SGT1」タンパク質の「HSP90」と結合する領域を変異させると、結合できないばかりか、免疫レセプターを安定化することができずに、病原菌の増殖を止める能力が欠けることを明らかにしました。 「SGT1」と 「HSP90」の複合体はヒトでも見つかっており、この成果は、耐病性のある作物を生み出すことに貢献するだけではなく、動植物の免疫システムの解明にも一石を投じることになりました。
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