| 2. |
研究手法と成果 |
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マウスを使った統合失調症中間表現型の量的形質支配座(QTL)解析 |
動物では統合失調症そのものを調べることはできませんが、中間表現型は解析が可能な場合があります。研究グループでは、統合失調症の中間表現型のひとつと考えられているPPIに着目し、まずマウスを使ってPPIを制御している遺伝子群のおおまかな染色体上の位置をQTL解析という手法で調べました。QTL解析では、対象としている表現型に関して両極端の値を示す系統を選択する必要があります。そこで、4系統のマウスを調べたところ、C57BL/6(以下、B6と略す)という系統のマウスが一番高いPPIの値を示し、C3H/He(以下、C3と略す)が一番低いPPIの値を示しました。このB6とC3を掛け合わせ、孫の世代のマウスを1,010匹作成しました。これらマウス1匹1匹のPPIを測定し、かつDNAマーカー※10を用いて各個体のゲノム組成を調べました。各個体のPPIの値とゲノム組成を比較して連鎖解析をすると、PPI制御遺伝子がのっている大まかな染色体上の位置が判明します(図2)。
QTL解析の結果、PPIに関係する遺伝子は少なくとも6つはあることが示され、その中でもマウス染色体10番には一番大きなピークが現れました(図3)。この染色体10番の位置には、効果の大きな遺伝子が存在していることが判明しました。次に、QTLピークを検出した染色体領域をさらに多数のDNAマーカーを用いて、かつ雄と雌を別々に調べたところ、特に雄の染色体10番のピークが、さらに突出していました(図4)。ピークの高さから、染色体10番にのっている遺伝子は、雌より雄で大きな効果を発揮していることが示唆されました。また、その遺伝子は、C3マウスでPPIの値を減少させるだけでなく、PPI潜時(音刺激を与えてから驚愕反射が起きるまでの時間)を減少させることにも関係していました。
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マウス染色体10番のQTLピークとFabp7遺伝子 |
雄マウスのQTLを詳細に解析した結果、染色体10番に含まれる遺伝子を30個程度に絞ることができ、この遺伝子の中で、研究グループはFabp7遺伝子に着目しました。理由は、 データベース上で少なくとも9種類知られている脂肪酸結合タンパク質(Fatty Acid Binding Protein:FABP)をコードする遺伝子のうち、Fabp7はbrain type(脳型)といわれるように脳で最初に見つかり、脳での発現が多い 統合失調症で多価不飽和脂肪酸※11の代謝異常が指摘されていたが、これらの中でも特にn-3系※12の多価不飽和脂肪酸であるドコサヘキサエン酸(DHA)やn-6系※12のアラキドン酸(ARA)が疾患との関連で注目されていた Fabp7タンパク質は脂肪酸の中でもDHAやARAに強く結合する 研究グループのメンバーは、さらにARAが神経新生向上効果を持つことを明らかにしつつある、などです。
Fabp7遺伝子の発現をB6とC3の2系統のマウスで、いろいろな脳部位、発達段階で比較したところ、生後7日目のC3マウスの前頭葉で発現が減少していましたが、生後8週間の成体期ではむしろ増加傾向を示しました(図5)。ちなみに、Fabp7遺伝子は、脳の発生・発達期に発現が高く、分裂が盛んな神経細胞で発現が認められます(図6)。成体期では、発現が低下し、グリア細胞の一種であるアストロサイト※13に発現が限局します。
研究グループは、さらにFabp7遺伝子ノックアウトマウスを作成し、PPIを測定したところ、PPIの低下を確認しました。またPPI潜時を測定したところ、C3マウスと同様にノックアウトマウスでは潜時が低下していました(図7)。これらの結果は、C3マウスの特徴に合致します。
統合失調症の病態仮説として、NMDA受容体※14を介する神経伝達が低下しているとする「NMDA低下仮説」があります。その根拠のひとつは、NMDA受容体拮抗作用をもつフェンサイクリジン※15という麻薬指定薬物を反復摂取すると、統合失調症様症状を引き起こし、さらに、統合失調症患者が摂取すると、病状の悪化が見られるという事実があります。このフェンサイクリジンと同じ作用を持つMK-801という薬物をFabp7ノックアウトマウスに反復投与すると、誘発行動量が野生型マウスに比べて増強します(図8)。このことは、Fabp7ノックアウトマウスは、ヒト統合失調症と同様、NMDA受容体拮抗薬に対する感受性が高いということを実験的に証明しました。
研究グループの大和田祐二教授らが行った別の研究では、出生直後のFabp7ノックアウトマウスの脳におけるDHA含量は4%低下し、成体期に達すると野生型と変化がなくなること、しかしNMDA機能は成体期でも依然低下していることが示されています。
Fabp7遺伝子が、マウス染色体10番のQTLピークを説明する遺伝子、あるいは遺伝子群の少なくともひとつであること(ひとつのQTLピークが複数の遺伝子の貢献によるものであることは原理的にあり得ます)の最終的な証明は、相補性テスト(complementation test)という方法で示すことができました。このテストでは、野生型のB6(Q/Qとする)、野生型のB6とC3(q/qとする)をかけあわせたもの(Q/q)、およびB6とFabp7ノックアウトマウス(−/−とする)をかけあわせたもの(Q/−)、C3とFabp7ノックアウトマウスをかけあわせたもの(q/−)、の合計4つの種類のマウスを用意します。そして、PPIの値が[(Q/Q)−(Q/−)]と[(Q/q)−(q/−)]間で有意に異なれば、当該遺伝子がQTLピークに関与していると言えます。実験の結果、両者間で差が見られたため、Fabp7遺伝子が染色体10番のQTLピークに関与している遺伝子であることが証明されました。
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| (3) |
Fabp7遺伝子と神経新生 |
B6に比べてPPIの低いC3マウスでは、生後7日目という脳の完成前段階にある前頭葉でFabp7遺伝子の発現が下がっていましたが、このことが成体期におけるPPIの低下にどのように結びつくのか調べるために、研究チームはFabp7遺伝子と神経新生の関連を検討しました。その理由は、 前述の飢饉の問題も含めて統合失調症になりやすい人は、脳の発達期における微細な障害が疾患発症の基底にあるという、「統合失調症の神経発達障害仮説」がある Fabp7遺伝子の働きを外から一時的に阻害すると、神経細胞の増殖を抑制し分化を促進するという結果が研究グループによって以前に報告されている Npas3(neuronal PAS domain protein 3)という遺伝子をマウスでノックアウトするとPPIが低下し、実際、ヒトの統合失調症でNPAS3遺伝子が染色体の転座によって破壊されている症例が見つかっている Npas3は神経新生に関与していることが報告されている、などです。Fabp7ノックアウトマウスを用いて神経新生の程度を評価したところ、Fabp7遺伝子の破壊によって脳における神経新生は低下していることが判明しました(図9)。
以上の結果から、Fabp7遺伝子の発現が脳の発達期に低下していると、神経細胞の増殖の低下をきたして、成長後の神経ネットワークに変化をもたらし、その変化が基盤となってPPIの低下が生じるのではないかと推察しました。
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ヒト統合失調症とFABP7遺伝子 |
研究グループは、統合失調症の中間表現型であるPPIが、マウスではFabp7遺伝子によって制御されていることが明らかとなったので、次の段階として、FABP7遺伝子とヒト統合失調症との関連を調べました。統合失調症の症状発現に重要と思われている前頭葉で、FABP7遺伝子の発現の状態を米国人の死後脳で測定したところ、統合失調症群では成体のC3マウスと同様、発現が増加していました(図10)。この遺伝子発現の増加が、患者の服用していた薬による影響かどうか検討するために、マウスに向精神薬(統合失調症の治療薬。主たる薬理作用は、神経伝達物質であるドーパミンの受容体の阻害である)を慢性的に投与してFabp7遺伝子の発現を調べました。その結果、薬によって発現が増加することはありませんでした。このため、FABP7遺伝子の発現変化は、疾患によるものと考えられます。
次に、FABP7遺伝子のゲノム上の個人差が、統合失調症の発症に影響するかどうかを、FABP7遺伝子のSNPを調べることによって検討しました。その結果、アミノ酸変化を伴うSNPを含むFABP7遺伝子の領域が、日本人の統合失調症の発症に関連していることが分かりました(図11)。FABP7タンパク質の中で、アミノ酸が変化する場所は、DHAが結合する部位の近傍にあり、アミノ酸の変化によってDHAに対する結合能が変わることが示唆されます。このため、日本人統合失調症の場合には、FABP7タンパク質とDHA結合(あるいはARA結合)の強さの違いが疾患感受性に影響を与えている可能性があると考えられます。
以上のことから、FABP7遺伝子は、脳での発現レベルの変化やゲノム上のSNPによって、統合失調症のなりやすさに効果を及ぼしていると考えられます。また、ヒト統合失調症における死後脳での発現増加やSNPの関連は、マウスのQTLピークの高さと同じ様に、男性でよりはっきりしたものであったため、FABP7遺伝子の効果には性差があり、統合失調症の性別による病像の違いにも関係している可能性があります。
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| ※1 |
統合失調症 |
| 統合失調症は、人口の約1%が罹患すると言われている精神疾患で、思春期・青年期に発症することが多い。幻覚や妄想、思考の障害、自発性の低下、感情の平板化などを主要な症状とし、社会的機能低下も問題となる。統合失調症の発症には、他の多くの精神疾患と同様に複数の遺伝的要因と環境要因が複雑に相互に作用していると考えられているが、発症への個々の遺伝子の関与は大きくないといわれている。環境要因では、飢饉の他、妊娠中のインフルエンザ感染、冬季出生、周産期障害、母子のRh血液型不適合などが、統合失調症の発症率を若干増加させることが知られている。 |
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| ※2 |
感覚フィルター機能 |
| 生体には、五感を通して絶えず感覚入力があるが、必要な感覚しか意識に上らないようになっている。これは、感覚情報が集まる視床という脳部位に感覚入力のフィルター機能があって、無秩序で過剰な信号が大脳皮質に行かないように感覚入力を制限しているためと考えられている。たくさんの人が雑談している、カクテルパーティーのような雑踏の中でも、自分が興味のある人の会話、自分の名前などは、自然と聞き取ることができる「カクテルパーティー効果」も、この感覚フィルター機能に基づいている。統合失調症では、この感覚フィルター機能に障害があるために、不必要で無関係な信号が大脳皮質に過剰に伝達され、思考障害や困惑などの症状が起こる一因になっていると示唆されている。 |
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| ※3 |
Fabp7 |
| Fabp7遺伝子が作るタンパク質は、「脂肪酸結合タンパク質」であり、類似の遺伝子が複数あり、ファミリーを形成している。現在のところ、Fabp1からFabp9の9種類が知られている。Fabp7タンパク質は、別名「脳型脂肪酸結合タンパク質」と呼ばれ、体内の組織では脳内で多く発現している。脳の発達期では未分化な神経幹細胞に多量に発現するが、大人になると発現量は減少し、アストロサイトというグリア細胞の一種に局在するようになる。結合する脂肪酸として、(必須)不飽和脂肪酸のドコサヘキサエン酸(DHA)やアラキドン酸(ARA)に親和性が高い。このように、Fabp7タンパク質は脳発生初期の未分化な神経幹細胞の中にたくさんあり、分化したニューロンにはほとんど見当たらないことから、機能の一部として、未分化な神経幹細胞の増殖あるいは分化(すなわち神経新生の過程)に関わっていると考えられている。 |
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| ※4 |
不飽和脂肪酸 |
| 脂肪酸は、長鎖炭化水素の1価のカルボン酸である。一般式 CnHmCOOH で表わせる。細胞膜脂質の構成成分や神経細胞を取り巻くミエリン脂質の構成成分として利用される。炭素鎖に二重結合あるいは三重結合を有しない脂肪酸は飽和脂肪酸、炭素鎖に二重結合、三重結合を有する脂肪酸は不飽和脂肪酸と呼ばれる。例えば、炭素数が16個の飽和脂肪酸はパルミチン酸、炭素数が18個で二重結合が1つの不飽和脂肪酸はオレイン酸、炭素数が18個で二重結合が2つの不飽和脂肪酸はリノール酸である。ドコサヘキサエン酸(DHA)は、炭素数が22個、二重結合が6個の不飽和脂肪酸で、リノレイン酸から合成される。アラキドン酸(ARA)は炭素数が20個、二重結合が4個の不飽和脂肪酸であり、リノール酸から合成される。DHAやARAは母乳中に含まれるが、乳児では合成能が弱いと言われている。飽和脂肪酸はエネルギー源として代謝されるが、不飽和脂肪酸は不足すると皮膚障害、不妊などが引き起こされることから、いろいろな生体機能を担っていると考えられる。 |
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| ※5 |
神経新生 |
| 脳の中には、1,000億個のニューロン(神経細胞)と、その10倍の数のグリア細胞(神経膠細胞)が存在し、精密なネットワークを形成している。ネットワーク構築のためには、脳の細胞の元になる細胞(神経幹細胞)が多数分裂して数を増やし、ニューロンやグリアの細胞に変化する(分化する)ことが必要である。この過程を「神経新生」と呼ぶ。すなわち、神経幹細胞は分裂して自己を複製し、その存在を維持しつつ、神経細胞やその他の脳を構成する多様な細胞へ分化している。海馬では神経幹細胞は海馬歯状回顆粒層下層と呼ばれる特定の領域に存在するが、加齢とともに減少することが知られている。 |
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| ※6 |
一塩基多型 |
| ヒトの染色体には、およそ30億の塩基対があるが、その配列は個人間で異なっていて、配列の違う部分を一塩基多型(SNP: single nucleotide polymorphism)という。SNPは、1,000塩基に1つ程度あり、個人の体質的基盤の一因と考えられている。 |
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| ※7 |
(必須)不飽和脂肪酸、必須脂肪酸 |
| 必須脂肪酸は、体内で合成されないために外界(通常は食事)から摂取する必要がある脂肪酸のこと。ヒトにとってどの脂肪酸が必須であるかは、現時点では判断が分かれる。一般にはリノール酸、(α-及びγ-)リノレン酸、アラキドン酸を必須脂肪酸と定義することが多い。ただし、γ-リノレン酸及びアラキドン酸は、リノール酸を原料として体内でも合成される不飽和脂肪酸であるため、必須脂肪酸から除外され、(必須)不飽和脂肪酸と表記される場合もある。しかし、これらにしても体内で合成される量だけでは必要量を満たすことができないため、体外からの摂取は不可欠といえる。必須脂肪酸は、多くの代謝過程ではたらいているため、不足したり種類のバランスが悪かったりすると、体調を崩す原因になることが示唆されている。 |
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| ※8 |
Synopses |
| 「概要」とか「大意」という意味であるが、『PLoS Biology 』誌に掲載される論文の中で、幅広い分野の読者の関心を惹きつけ、理解を助ける目的で、編集者が特に選んでscientific writerに要約文をつけさせたもの。 |
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| ※9 |
エンドフェノタイプ(中間表現型) |
| 精神疾患は、患者の体験する主観的な症状に基づいて診断分類しているが、疾患の原因解明という生物学的な研究をする場合、もう少し客観的に測定できる指標を対象にするのが望ましいと考えられている。理想的にはこのような指標は、(1)患者および程度は弱いが家族でも認められる(つまり疾患とかなりオーバーラップする遺伝的基盤で規定される)(2)病状や投薬によってあまり変化を受けず、長期にわたって安定している(3)量的に測定可能である、などの条件を満たすものである。疾患による外見的な症状より、原因に近い(原因と症状の中間に位置する)ものを想定しているので、中間表現型と呼ばれる。統合失調症における中間表現型としては、PPIの低下の他、作業記憶障害、眼球運動障害などが考えられている。 |
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| ※10 |
DNAマーカー |
| B6マウス由来のゲノムか、C3マウス由来のゲノムかを区別するために用いた、ゲノム上の配列の違いで、SNPやマイクロサテライトマーカー(ゲノム上の至る所にある2〜4塩基の繰り返しで、B6マウスとC3マウスで繰り返しの数が違うもの)を指す。 |
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| ※11 |
多価不飽和脂肪酸 |
| 炭素鎖に二重結合あるいは三重結合が2つ以上ある不飽和脂肪酸のことをいう。室温では柔らかい状態か、液体状である。大豆油、ひまわり油などに多く含まれている。魚の脂肪は主に多価不飽和脂肪酸である。 |
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| ※12 |
n-3系、n-6系 |
| 二重結合を複数有する多価不飽和脂肪酸には、n-3系と n-6系がある。脂肪酸を構成する炭素を、メチル基の方から数えて、最初の炭素をn、2番目の炭素をn-1と数える。n-3系とは、メチル基の方から調べて、最初に存在する二重結合が、n-2の炭素とn-3の炭素の間に存在する多価不飽和脂肪酸のこと。n-6系では、最初の二重結合が、n-5の炭素とn-6の炭素の間に存在する。n-3系の多価不飽和脂肪酸(ω3脂肪酸)は、α-リノレン酸→エイコサペンタエン酸(EPA:eicosapentaenoic acid)→ドコサヘキサエン酸(DHA)へと代謝される。n-6系の多価不飽和脂肪酸(ω6脂肪酸)は、主としてリノール酸として摂取され、生体内では、アラキドン酸に代謝される。 |
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| ※13 |
アストロサイト |
| アストロサイト(astrocyte)は中枢神経系に存在するグリア細胞のひとつ。アストログリア(astroglia)とも言う。多数の突起を持ち、星型の形態を示すため、星状膠細胞という日本語訳もある。神経細胞への栄養補給、神経線維の保持、脳の血管基底膜に突起を接して、血液脳関門の閉鎖機能の維持に寄与している役割などが示唆されている。 |
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| ※14 |
NMDA受容体 |
NMDAは、N-methyl-D-aspartateの略で、アミノ酸のひとつであるグルタミン酸が神経伝達物質として使われる際の受容体の一種に結合する。グルタミン酸がNMDA受容体に結合すると、神経細胞の興奮が起こる。NMDA受容体は、脳の広汎な部位に存在し、記憶、学習、神経可塑性などに関与していると考えられている。 |
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| ※15 |
フェンサイクリジン(PCP) |
フェンサイクリジン(phencyclidine)は、幻覚剤であり精神異常誘発物質である。1950年代に米国の製薬会社パーク・デービス社により麻酔薬として開発されたが、のちに精神異常の副作用を示すことが判明したために使用が断念された。薬物乱用者に現れる症状から、統合失調症のモデル薬剤とされた。NMDA受容体のイオンの通り道に結合し、NMDA受容体の働きを阻害する。 |
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| ※16 |
二分脊椎 |
二分脊椎(神経管閉鎖障害/神経管欠損症)は、生まれつき脊椎の癒合が完全に行われず一部開いたままの状態にあることをいう。脳からの命令を伝える神経の束(脊髄)が形成不全を起こして、様々な神経の障害を伴った症状が出現する。主に腰椎、仙椎に発生するが、その部位から下の運動機能と知覚が麻痺したり、合併症として脳に異常を生じたり、さらに膀胱や直腸の機能にも大きく影響を及ぼすことがある。
原因のひとつとして、細胞分裂や成熟に不可欠なビタミン葉酸欠乏との関係が指摘されている。4mg/日の葉酸を投与することによって、神経管欠損症の72%は予防可能であるとの報告もある。米国、カナダ、英国などでは、妊娠可能な全女性に対して「妊娠の4週間前から妊娠12週まで、0.4mg/日の葉酸を摂取すること」を勧告している。日本でも、厚生労働省が、妊娠適齢期の女性すべてに対して、緑葉野菜や豆類など葉酸を多く含む食品を食べ、1日に0.4mgの葉酸を摂取するよう、2000年に勧告した。
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