 高等生物からバクテリアまで、地球上に生育するすべての生物は、DNAのコードする遺伝情報に基づいて多様な機能を持つ分子を発現させ、その生命活動を営んでいます。このうち特に重要なのはタンパク質であり、細胞の中では分子量が約250万もの巨大な工場である「リボソーム」で合成されています。リボソームは、多数のRNAとタンパク質を含むサブユニットと呼ばれる構造からなりますが、この複雑な分子がどのようにして組み上がって成熟していくのかは未だに不明の点が多く、世界中で盛んに研究されています。
理研ゲノム科学総合研究センタータンパク質基盤研究グループは、わが国が推進している「タンパク3000プロジェクト」の一環として、米国ニューヨーク州立大学、独国フランクフルト大学の研究グループと協力し、バクテリアのリボソームの成熟に関わるタンパク質「RbfA」が、リボソーム30Sサブユニットに結合した状態の超低温電子顕微鏡像を観察し、その完成直前の姿を捉えることに成功しました。得られた構造から、「RbfA」がリボソーム30Sサブユニットの機能に重要な部分に結合することによってその成熟を助けると同時に、リボソーム30Sサブユニットの構造を変化させることにより、未成熟のままタンパク質合成に利用されないようにしていることが明らかになりました。「RbfA」がバクテリアに特有のタンパク質なことから、今回の成果で得られた構造情報は、病原菌のリボソームの働きを止めて作用する新薬の開発などに役立つと期待されます。
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