私たちの体は、たった1つの受精卵から始まります。1つの細胞が、髪になったり、目になったりするのは、細胞が「分化」するためで、この機構のカギとなるのが「DNAのメチル化」です。 「DNAのメチル化」とは、DNAを構成している塩基の1つであるシトシンにメチル基が接合することをいい、タンパク質の合成を制御しています。このDNAのメチル化が異常に起こると、がんなどさまざまな病気を引き起こし、また、老化などの原因になることが知られています。
長いDNA鎖の中では、メチル化があらゆる箇所で起こっていますが、その位置・量とがん化との関連性を見出す研究が盛んに行われています。しかし、現在使われているメチル化測定法は、30年以上前に開発されたもので、時間がかかる、場所が特定できない、たくさんのDNA量が必要、などたくさんの問題を抱えていました。
理研フロンティア研究システムの岡本独立主幹研究ユニットは、知りたい位置のシトシンがメチル化しているかを、わずか10分から1時間程度で検出できる新しいメチル化解析システム「ICON法」の開発に成功しました。ICON法は、知りたい配列の相補DNA断片(“場所取り”)と有機分子のビピリジン(“鈎針”)を連結した「ICONプローブ」(“釣竿”)を用いて、メチル化に反応する金属試薬オスミウム(“餌”)を、調べたいDNA(“川”)と混ぜるだけで、知りたい位置がメチル化しているかを確実に調べることができます。調べたいDNAの箇所がメチル化している場合(“魚”)には、ICONプローブ(“釣竿”)によって吊り上げられることになるのです。
ICON法を使えば、メチル化の位置とがんとの関連付けの研究を、より簡単かつ正確に行うことができます。この技術を使って、血液一滴からがんなどさまざまな病気の診断、さらに老化の診断などが可能となるかもしれません。この特殊な釣竿ともいえるICONプローブは、株式会社ジーンデザインから発売される予定です。
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