私たちが座ったり、歩いたり、跳ねたりすることができるのは、しっかりした骨格を持っているからです。脊椎動物の骨格は、大部分がいったん軟骨で鋳型が作られ、その軟骨が骨に置換されるステップを経て作られます。
この過程で異常が起こると、先天性の骨格異常疾患となります。出産直後に死亡してしまう原因不明の「蝸牛様骨盤異形成症(SBD)」もそういった骨格異常疾患の1つです。また、変形性関節症、椎間板ヘルニアをはじめ、日常目にする多くの疾患にも、この過程が関係することがわかってきました。そのため、多くの遺伝子が関与するこの骨格形成の機構解明は、単に生物学上のみならず、医学上の問題解決からも渇望されています。
理研遺伝子多型研究センター 変形性関節症関連遺伝子研究チーム、免疫・アレルギー科学総合研究センター 免疫器官形成グループらは、軟骨細胞で糖ヌクレオチドという分子の輸送に関わっている「SLC35D1」の遺伝子が、骨格形成に必須の役割を担っていることを突き止めました。SLC35D1の遺伝子を欠損させたマウスを作成したところ、四肢や背骨の形成が異常となり、出産直後に死亡しました。さらにその軟骨組織を調べ、異常の分子メカニズムを明らかにしました。また、ヒトのSBDの症例でも、SLC35D1の遺伝子の変異と機能の欠損を見つけ、この病気の原因遺伝子を世界で初めて発見したことにもなりました。骨・関節疾患の病態解明に、糖鎖生物学という新たな道筋が見つかりました。
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