プレスリリース 独立行政法人 理化学研究所
凸版印刷株式会社
株式会社理研ベンチャーキャピタル
「株式会社 理研ジェネシス」の設立とその戦略的活用のための三者覚書を締結
- オーダーメイド医療に向けたSNP タイピング技術の普及 -
平成19年10月12日
 独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)、凸版印刷株式会社(足立直樹社長)及び株式会社理研ベンチャーキャピタル(有馬朗人社長)は、「株式会社理研ジェネシス」の設立に合意し、併せて理研が同社を理研ベンチャーと認定したうえで戦略的に活用し、理研のSNPタイピング技術に関するアクティビティの一部分社化を進める覚書を締結しました。
 株式会社理研ジェネシスの設立は、オーダーメイド医療※1の実現に必要なファーマコゲノミクス(Pharmacogenomics:薬理ゲノム学)※2研究の基盤となるSNP(Single Nucleotide Polymorphism:一塩基多型)タイピング(遺伝子多型判定)技術※3とそれに関連する研究成果を普及し、国民の医療・福祉の向上に貢献するためのものです。
 理研遺伝子多型研究センター(中村祐輔センター長)では、個人の体質に合った病気の予防や治療を行うオーダーメイド医療の実現による国民のQOL(Quality of Life)の向上を目指し、病気への罹患可能性や薬への感受性を左右する個人ごとに異なる遺伝子多型を効果的に判定する技術として「SNPタイピング技術」を2000年から独自に開発・発展させてきました。この技術は、複数の技術を高度にシステム化したもので、遺伝子多型の判定に必要な一連の作業を統合的かつ高精度、高効率に行うものです。このSNPタイピング技術は、遺伝子レベルで病気の原因を解析し、個々人の体質に合った治療法や創薬研究開発を行うファーマコゲノミクスの研究基盤となるもので、国内外の医療現場や研究機関・企業から必要とされています。しかし、システム化され、かつ高精度、高効率にこの技術を提供できる国内企業がいまだにないという状況となっています。
 このため、理研は、遺伝子多型研究センターが確立したSNPタイピング技術を一体として普及し、わが国のファーマコゲノミクス研究の一層の発展を図るため、凸版印刷株式会社及び株式会社理研ベンチャーキャピタルが連携して設立した新しい理研ベンチャーに、理研のアクティビティの一部を移植する方針を決定しました。凸版印刷株式会社は、この理研ベンチャーに対する経営面の支援に加え、技術面においてもこれまでの理研との共同研究に基づくSNPタイピング技術に関する共同出願特許やノウハウを保有していることから、事業パートナーとして参加します。また、株式会社理研ベンチャーキャピタルは、理研の研究成果に基づいて事業活動を展開する理研ベンチャーへの投資とその育成を事業目的としていることから、同社の設立に加わりました。今般、理研は、この新会社「株式会社理研ジェネシス」を理研ベンチャーとして認定し、ファーマコゲノミクスの研究基盤であるSNPタイピングに関する理研のアクティビティと研究成果を効果的に移植し、戦略的に活用するための支援措置を講ずることとしました。
 株式会社理研ジェネシスは10月15日に設立し、2007年度に準備を整え、2008年度から本格的に事業を開始する予定です。


1. 背 景
 オーダーメイド医療は、個人ごとに異なる「病気へのかかりやすさ」や「薬に対する感受性」に対応し、最も治療効果があり副作用の少ない薬を投与することにより、個人に適した治療、予防を行い、国民のQOL(Quality of Life)を向上することを目指しています。その実現のためには、個人ごとに異なる遺伝子配列の多型を高速、高精度かつ安価に判定する必要があります。
 理研遺伝子多型研究センターでは、これまでにオーダーメイド医療の実現に向け、2000年からおよそ7年間をかけて独自の遺伝子多型判定(SNPタイピング)技術を確立してきました。
 このSNPタイピング技術は、膨大なゲノム情報の中から「病気へのかかりやすさ」や「薬に対する感受性」に関係する遺伝子の候補群を探索する一次タイピングと、その候補群の中から99.9%以上の高精度で候補を絞り込む二次タイピングを一つのシステムとして統合したところに特徴があります。特に、二次タイピングについては、理研が開発したマルチプレックスPCR法※4とインベーダー法※5を組み合わせることにより、1日に最大で70万箇所、年間で約1億箇所もの計測を高精度に行うことができます。更に、計測結果を解析しSNPを判定するソフトウェア群を開発することで、疾病や薬物感受性に関係する遺伝子群の絞込みに必要な一連の作業を高度に統合し、世界最高水準の処理能力と高い効率性を実現しています。実際、第1期国際ハップマッププロジェクトでは、ヒトの全ゲノムの24.3%を解析し、プロジェクトに参加した施設としては世界最大の貢献を果たしました。
 また、このSNP判定技術は、個人のゲノム情報を基に、患者一人一人に最適な治療法を講ずるだけでなく、疾患関連遺伝子をターゲットとした画期的な新薬開発を目指す研究の基盤ともなるものです。したがって、その普及は、わが国のファーマコゲノミクス研究、ひいてはオーダーメイド医療による国民のQOLの向上に不可欠なもので、ファーマコゲノミクス研究を目指す国内外の研究機関・企業から、この統合化された高性能のSNPタイピング技術の利用を望む声が高まっています。
 ところが、現在は、この一連の技術を統合的に提供できる国内企業は見当たりません。これは、単一の装置を導入するだけでは不十分で、多様な装置とソフトウェアを高度に統合したシステムとして提供する必要があるためです。国内外からの声に応え技術を普及するためには、理研が開発したシステムを一体として提供する必要があります。
 また、医療現場でのオーダーメイド医療を実現するためには、誰もが簡便に利用できる小型のSNPタイピング装置が不可欠です。このため、遺伝子多型研究センターでは、確立した技術を応用した小型SNPタイピング装置と分析チップの開発を、2004年から企業と共同で開発してきました。2005年にはプロトタイプを完成させ、実際に複数の医療機関での臨床研究で活用して、その有効性を確認してきました。現在、実際の診断に利用可能な商用機の共同開発を進めており、それらの一刻も早い上市が期待されています。
 このように、遺伝子多型研究センターで確立したSNPタイピング技術は、わが国のファーマコゲノミクス研究、ひいてはオーダーメイド医療による国民のQOLの向上を目指して、その普及への要望が高まっています。いまや、理研が確立したこのSNPタイピング技術を可能な限り一体的に、かつ、利用者本位の柔軟で継続的な運営のもとに普及させる段階に来ているといえます。
 なお、遺伝子多型研究センターは、2000年にミレニアム・プロジェクトとして発足し、SNPタイピング技術の確立という初期の目的の一つを達成しました。しかし、本研究センターは時限付きのプロジェクトを推進することから、プロジェクトの終了に伴う人員やリソースの分散、研究成果やノウハウの散逸が懸念されます。そこでこの懸念を回避するため、SNPタイピング技術のような重要な研究基盤については、理研外への技術の普及を含め、その継続的な利用促進のために必要な産業界との連携に取り組んでいきます。


2. 覚書の概要
 理研は、凸版印刷株式会社及び株式会社理研ベンチャーキャピタルの合弁による「株式会社 理研ジェネシス」の設立にあたり、三者間の協力関係について次に概要を示す覚書を作成し、10月4日それぞれの長の調印を完了しました。
(1) 新会社の設立
 凸版印刷株式会社及び株式会社理研ベンチャーキャピタルは、
オーダーメイド医療の実現に向けた、ファーマコゲノミクス研究の基盤となる理研のSNPタイピング技術及び研究成果の普及を実現し、
国民の医療・福祉を向上するため、
新会社を設立。
(2) 株主間協定
 凸版印刷株式会社及び株式会社理研ベンチャーキャピタルは、新会社設立にあたり、理研立会いのもと、株主間協定を締結。
(3) 新会社への措置
 理研は、新会社を「理研ベンチャー」と認定するとともに、次の措置を行う。なお、理研は、新会社設立後速やかに、次の措置に関する具体的事項を書面にて取り決め、実施することとする。
1研究用施設・設備の貸与等の措置 … 事業遂行にかかわる理研の研究用施設・設備を貸与/譲渡。
2実施許諾における措置 … 理研保有の知的財産権・ノウハウを供与し、その実施を許諾。
3事業承継への協力 … 事業承継に必要な支援の実施。業務上・技術上の情報を提供・助言。
4人材確保に対する協力 … 事業遂行に必要な人材の確保に対して協力。
(4) 事業報告
 理研は、必要に応じて、新会社の事業状況の報告を求め、調査を行うことができる。


3. 企業概要(予定)
 凸版印刷株式会社及び株式会社理研ベンチャーキャピタルは、次に概要を示す合弁会社を設立するため、理研の立会いのもと、株主間協定を締結しました。
(1)
名称:株式会社 理研ジェネシス
RIKEN GENESIS CO., LTD.
(2) 設立年月日(予定): 平成19年(2007年)10月15日(月)
約半年間の準備期間を経て、本格的な業務は2008年4月1日(火)より開始予定。
(3) 本店所在地 : 東京都台東区
(4) 事業内容:
1遺伝子解析事業(SNPタイピング及び解析の受託事業)
2遺伝子解析装置及びこれに係わる分析用消耗品の製造、販売(臨床現場で簡単に利用可能な小型SNPタイピング装置及びチップの提供)
3上記2事業の周辺サービス事業
(5) 事業所
1本店 : 東京都台東区
2事務所及びラボ : 神奈川県横浜市鶴見区末広町1-7-22
(理研横浜研究所内)
※現在理研で利用している設備一式及びラボを理研から貸与予定。
(6) 役員(予定)
代表取締役社長:塚原祐輔(現凸版印刷株式会社ライフサイエンス事業推進部長)
常勤取締役2名(代表取締役を含む)
非常勤取締役3名
非常勤監査役1名
(7) 従業員数及び今後の計画
1設立時(2007年10月)  数名程度で事業準備を開始
2業務開始時(2008年4月) 25名程度
(8) 資本金
1設立時(2007年10月)
資本金20百万円
出資者は凸版印刷株式会社(87.5%)及び株式会社理研ベンチャーキャピタル(12.5%)
2業務開始時(2008年4月)
本格的業務開始にあわせ、必要な資金を増資予定。増資引受は、凸版印刷株式会社及び必要に応じてその他の企業を予定。


写真 SNPタイピング施設


(問い合わせ先)

独立行政法人理化学研究所 横浜研究推進部
 企画課次長兼企画課長事務取扱
  岡本 拓也(おかもと たくや)

Tel: 045-503-9328 / Fax: 045-503-9113

(報道担当)

独立行政法人理化学研究所 広報室 報道担当

Tel: 048-467-9272 / Fax: 048-462-4715
Mail: koho@riken.jp
凸版印刷株式会社 広報本部

Tel: 03-3835-5636 / Fax: 03-3837-7675
株式会社理研ベンチャーキャピタル

Tel: 03-6809-0290 / Fax: 03-6809-0291


<補足説明>
※1 オーダーメイド医療
病気の種類ごとに画一的に行われてきた従来の医療と異なり、患者個人の遺伝情報に応じて薬の選択や投与量を決定し、その人の体質や特性に合うよう実施する医療行為である。遺伝子の違いが、病気のかかりやすさや薬の効きやすさと関連していることに注目して、副作用が少なく効果の高い治療を行うとともに、生活習慣病の早期診断などへの応用も期待される。
※2 ファーマコゲノミクス(Pharmacogenomics:薬理ゲノム学)
ファーマコゲノミクスとは、患者の遺伝情報(遺伝的特徴)の解析を行うことにより、特定の疾患群に対して有効で安全な医薬品を探索・開発する手法であり、患者個々の遺伝的特徴を把握し、個々の患者に最適な薬剤を選択し、最適な用法用量で投与すること目指している。
※3 SNP(一塩基多型)タイピング
SNP はSingle Nucleotide Polymorphism の略称で、DNA 配列約1000 個に1つ存在する一塩基の違いをいい、これを判定することにより個々人の病気のなりやすさ、薬物に対する応答性を診断できる。SNPと疾患関連遺伝子や薬物応答性との関係を解析することにより、ゲノム創薬、オーダーメイド医療の実現に繋がるとして注目を浴びている。
※4 マルチプレックス PCR法
PCRとは、遺伝子を増幅する代表的な方法。具体的には、二本鎖DNAを一本鎖へ分離する際、目的とするDNA領域をはさんだプライマー(DNAを酵素的に合成する際に使用されるDNA断片)の結合、DNA合成酵素によるDNA合成反応を繰り返すことによって、目的の DNA断片を一反応ごとに倍加する方法。PCR反応は通常1つの反応系に1対のプライマーをいれて1種類のPCR産物を合成するが、マルチプレックスPCRは、複数対のプライマーを入れて同時に 複数のPCR産物の合成をさせること。1つの反応系で複数の遺伝子を検出できるので、簡便性・コストパフォーマンス・自動化に優れている。
※5 インベーダー法
米国サードウェイブテクノロジーズ社(ウィスコンシン州マディソン)が開発したCleavaseDNA(修飾酵素の1つ)を用いたSNP解析手法。簡便、高精度のSNP解析技術である。


<参考>

1. 理研ベンチャーについて
(1) 理研ベンチャー
理研の研究成果の実用化・事業化を促進するため、理研の研究成果の技術移転を目的として設立された企業などに対し、理研が研究成果の普及または研究活動の活性化に有意義と認めた場合、その企業を「理研ベンチャー」として認定するもの。理研は、知的財産権の実施許諾における優遇措置、共同研究実施に伴う施設利用に関する優遇措置等を行うことにより、理研ベンチャーに対する支援を行っている。
現在、23社が理研ベンチャーとしての認定を受け事業を行っているが、その中には、理研の研究者自らが企業を設立するものと、その他の企業に研究成果を技術移転するものの2種類がある。今回のSNPタイピング技術普及を目標に掲げる「株式会社 理研ジェネシス」は、後者の型の理研ベンチャーとして認定するもの。
表 理研ベンチャーについて
  理研の研究者自らが
企業を設立するもの
企業に研究成果を
技術移転するもの
申請者 理研職員 企業
認定期間 5年+5年 10年+10年
認定の要件
(上記以外)
  • 研究成果の普及を主たる事業とし、当該成果を迅速に普及できる事業計画を有すること。
  • 申請者が出資していること。
  • 発明者のノウハウ等が不可欠、迅速な技術移転が必要なこと。
など
  • 研究成果の普及を主たる事業とし、当該成果を迅速に普及できる事業計画を有すること。
  • 発明者のノウハウ等が不可欠、迅速な技術移転が必要なこと。
など
支援措置 ライセンス 独占・再実施権 独占・再実施権
共同研究 必須 制約なし
連絡事務所 設置可 不可
(2) 理研ベンチャー認定の実績
平成8年度以来、27社を理研ベンチャーと認定。うち23社が現在も理研ベンチャーとして事業を行っており、今回の株式会社理研ジェネシスが28番目の認定で24社目となる。
理研ベンチャーは、これまでに4社が創業・ベンチャー国民フォーラムのJapan Venture Awardを受賞、うち2社は産学官連携功労者表彰の文部科学大臣賞を受賞するなど高い評価を受けている。
表 理研ベンチャー認定の実績
年度 認定数 認定社名
平成8(1996) 1社 メガオプト☆※〔社名変更〕
平成9(1997) 2社 ライテックス〔認定解除〕、ザイヤ〔認定解除〕
平成10(1998) 3社 新世代加工システム、ダナフォーム、ブレインビジョン
平成11(1999) 1社 先端力学シミュレーション研究所☆※
平成12(2000) 3社 高速計算機研究所、セルメディシン、レックアールディ〔認定解除〕
平成13(2001) 3社 テクノフローラ、オーエムケムテック〔認定解除〕、インバイオテックス
平成14(2002) 2社 フューエンス、インプランタイノベーションズ
平成15(2003) 1社 ワイコフ科学〔社名変更〕
平成16(2004) 2社 メディカルイオンテクノロジー、カイオムバイオサイエンス
平成17(2005) 4社 日本中性子光学、FLOX、VCADソリューションズ、アイサイヴ
平成18(2006) 4社 トライアルパーク、レグイミューン、タグシクス・バイオ、動物アレルギー検査
平成19(2007) 2社 ナノメンブレン、理研ジェネシス
☆ Japan Venture Award受賞(4社)
※ 産学官連携功労者表彰 文部科学大臣賞受賞(2社)


2. 株式会社理研ベンチャーキャピタルと理研の関係について
(1) 株式会社理研ベンチャーキャピタルと理研の関係
理研と目的を共有し、かつ理研の持たない手段(ベンチャーへの出資、経営への参画等)を補完するため、理研の役職員が基金を拠出して「有限責任中間法人理研支援基金」を設立。その中間法人の100%出資で設立したのが「株式会社理研ベンチャーキャピタル」である。
株式会社理研ベンチャーキャピタルは、理研の研究成果の事業化促進を主な目的としており、特に理研ベンチャーへの投資、育成に関する活動を行うことから、相互に連携・協力するため、次の内容の協定を理研と締結している。

目  的 理研発シーズの事業化を促進
情報開示 理研は理研ベンチャーキャピタルの投資活動に必要な情報を提供
報告義務 理研ベンチャーキャピタルは理研からの情報に基づいて投資したときは理研に報告
連絡協議会 理研と理研ベンチャーキャピタルは連携・協力について協議
秘密保持 理研と理研ベンチャーキャピタルは互いの営業上、技術上の情報を本協定の目的以外に使用してはならない。
利益相反 理研と理研ベンチャーキャピタルの役職員は利益相反事象に細心の注意を払う。
禁  止 理研は理研ベンチャーキャピタルが行う個々の投資活動に意見を述べない。
理研ベンチャーキャピタルは理研の名誉を汚してはならない。
有効期間 3ヵ年、1年単位で期間延長

(2) 理研ベンチャーキャピタルの役割と出資の理由・意義
今回設立する新会社には、理研の施設・設備の利用、知的財産のライセンス等多くの理研の資源を投入し、理研として支援することとなる。このため、新会社に対する理研のガバナンスが必要と考えられる。
一方、理研は法律の定めにより企業への出資や経営参加を行うことができない。このため、理研ベンチャーキャピタルがこの新会社に出資することで、新会社の経営に参加することとした。
なお、理研ベンチャーキャピタルは、現在、有限責任中間法人理研支援基金からの出資をもとに広く投資会社等からの出資を得て組成したファンドを運用している。しかし、今般の新会社は、非上場での事業展開を想定していることなどから、ファンド組合員全員の同意を得たうえで、直接出資により対応することとした。中間法人の取り決めにより、基金の拠出者は拠出した額を超える利益を受けないとしていることから、理研ベンチャーキャピタルの出資によって理研の役職員が利益を享受することはない。
(3) 理研が直接出資できないことの根拠
全ての独立行政法人は、運営の基本その他の制度の基本となる共通の事項を定める「独立行政法人通則法(平成11年7月16日法律第103号)」第47条(余裕金の運用)において、出資等の資金運用が禁じられている。

(余裕金の運用)
第四十七条 独立行政法人は、次の方法による場合を除くほか、業務上の余裕金を運用してはならない。
 一 国債、地方債、政府保証債(その元本の償還及び利息の支払について政府が保証する債券をいう。)その他主務大臣の指定する有価証券の取得
 二 銀行その他主務大臣の指定する金融機関への預金又は郵便貯金
 三 信託業務を営む金融機関(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)第一条第一項の認可を受けた金融機関をいう。)への金銭信託


<各社概要>

独立行政法人理化学研究所(本所:埼玉県和光市)
独立行政法人理化学研究所は2003年設立(財団法人としては、1917年設立)。
科学技術(人文科学のみに係るものを除く)に関する試験及び研究などの業務を総合的に行うことにより、科学技術の水準の向上を図ることを目的とし、日本で唯一の自然科学の総合研究所として物理学、工学、化学、生物学、医科学などにおよぶ広い分野で研究を進めている。研究成果を社会に普及するため、大学や企業との連携による共同研究、受託研究等を実施しているほか、知的財産権の産業界への移転とそれに必要な産業界との連携を積極的に進めている。
理研の遺伝子多型研究センターは、国のミレニアム・プロジェクトにより2000年設立。
オーダーメイド医療の実現を目指し、高精度・大規模・高効率な遺伝子多型判定(SNPタイピング)技術を確立することで、個々人のSNP(一塩基多型)を体系的に解析し、それらの情報をもとに、疾患関連遺伝子を探索し、またSNPが当該遺伝子の機能に与える影響、あるいは、SNPと薬剤感受性との関連を明らかにする研究を行っている。


凸版印刷株式会社(本社:東京都千代田区)
1900年創立の総合印刷会社。情報コミュニケーション(証券・カード/商業印刷)、出版印刷、パッケージ、産業資材、エレクトロニクス、オプトロニクスの7部門で事業展開。
2007年3月期は、連結売上高1,557,876(百万円)、連結経常利益83,491(百万円)。
現在、ライフサイエンス分野の取り組みを強化しており、SNPチップとともに、プロテインチップや電気化学的検出法の開発も行っている。また、付加価値の高い医療医薬品包材の開発など既存事業との融合も含めた新事業の創出を積極的に進めている。


株式会社理研ベンチャーキャピタル(本社:東京都千代田区)
2005年設立。産業界との連携について理研と目的を共有し、かつ、理研の持たない手段を補完するため、理研の13名の役職員が基金を拠出して「有限責任中間法人理研支援基金」を設立し、その中間法人の100%出資で設立した。
理研発のベンチャーの支援を主目的とし、投資・育成、投資事業組合の設立、並びに組合財産の管理・運用などの事業を行っている。
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