日本海側の冬の雷雲が40秒間放射した10 MeVガンマ線を初観測
- 冬の雷雲は天然の粒子加速器である証拠をつかむ -
PRESS RELEASE HIGHLIGHT
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2007年1月7日の1日の間に得られた放射線の変動(横軸:日本時間、縦軸:放射線検出器で得られたカウント(放射線量に対応)) のどかに晴れ渡っていた空に突然、暗雲が立ち込め、土砂降りの雨とともにバリバリと天空を破るような音をたてて雷が鳴り響き、恐れおののいた経験は誰にでも覚えがあります。雷は、雷雲の内部や雷雲と地表の間に大量の静電気が貯まり、高い電圧がかかり続けた結果、一気に電流が流れる自然の放電現象です。ところが、この雷の発生メカニズムはいまだに謎が多く、よくわかっていません。
 日本海側では冬季に「雪起こし」と呼ばれる雷が頻発し、近辺の原子力所発電所の放射線監視モニタで放射線が普段よりも増えることがたびたび報告されていました。高エネルギー放射線が宇宙からだけではなく、地球の雷からも放射されていることが示唆されました。
 中央研究所の牧島宇宙放射線研究室の研究グループは、東大大学院理学系研究科の研究グループと協力し、放射線への感度が高く、飛来する放射線の種類や方向、エネルギーがわかる新型の装置を開発しました。観測を始めて3週目の2007年1月7日早朝、新潟県柏崎の上空に発生した雷雲から雷が起こる70秒前より、40秒間に渡り、10メガ電子ボルトのエネルギーを持つガンマ線が放射される様子を観測することに成功しました。
 観測したガンマ線は、雷雲の中の電子が雷雲下部のプラスの電気の層に引き寄せられ、光の速さまで加速し、制動放射という現象が働いて発生したことも明らかにしました。身近な雷が、粒子を高エネルギーに加速できる自然の加速器として働く証拠をつかみました。雷雲から放射されたガンマ線の観測は世界でも稀で、今後、雷の発生メカニズムの解明や、宇宙での粒子加速の仕組みを理解することに役立つと期待できます。
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