「窒素」、「リン酸」、「カリウム」は作物の3大栄養素として知られています。この栄養素が欠けると、稲、コムギなどの作物も、美しいランなどの観賞用植物も豊かに育ちません。これらの栄養素は、いずれも植物の根から吸収されますが、そのメカニズムの詳細はナゾのままです。
理研植物科学研究センターの基礎代謝研究チームは独・ホーヘンハイム大学と共同で、植物が窒素源として土壌中の「アンモニア態窒素」を細胞内へ吸収するときに働くアンモニウム輸送体の役割を明らかにしました。アンモニア態窒素は、土壌中にある動植物の遺骸や排泄物に含まれるタンパク質や尿酸、尿素などを微生物が分解して作り出す窒素源です。
植物の根では、「AMT1型」アンモニウム輸送体がアンモニウムイオンを選択的に細胞内へ通過させています。特に窒素肥料が不足したときにAMT1型アンモニウム輸送体がその能力を発揮します。研究チームは、シロイヌナズナのノックアウト植物を使って、4種類のAMT1型アンモニウム輸送体の機能を明らかにし、そのうちの3種類がアンモニア態窒素の吸収に重要であることなどを解明しました。作物の窒素利用効率を高める技術開発に貢献するとともに、作物が吸収しきれない過剰な栄養素が田畑から流れ出し環境に悪影響を与える問題の改善にも役立てる成果と注目されます。
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