免疫機能は私たちの体をウイルスやがん、ばい菌などから守る仕組みで、誰もが備えています。体の中では、異物である抗原が入り込むと、抗体をつくり、免疫細胞を結集させ戦っているのです。ところが、花粉症などの先進諸国で増えている慢性アレルギーは,この免疫機能の乱れが原因になっていると考えられるようになりました。
この免疫機能の重要な役割を担う生体物質のひとつが、喘息や炎症を引き起こす物質「システイニルロイコトリエン」 で,これはロイコトリエンC4合成酵素が生産する「ロイコトリエンC4」と、ロイコトリエンC4が代謝された一連の物質群の総称です。これらはアレルギー物質でもあるヒスタミンより、肺の気管支収縮活性で1,000倍も強い「アナフィラキシー遅延反応物質」として知られてきました。
理研放射光科学総合研究センターの宮野構造生物物理研究室は、米国ハーバード大学ブリガム婦人病院と、このロイコトリエンC4合成酵素の立体構造を世界で初めて明らかにし、合成の仕組みを解明しました。合成酵素は、膜の上に正三角形を作るように3つ集まっており、そのV字型の空間が酵素として働く(触媒)活性の中心的な場所であることがわかりました。さらにロイコトリエンC4合成酵素は、炎症免疫における強い病理や生理反応を引き起こすロイコトリエンC4 生合成のキー酵素であるため、例えば花粉症、慢性喘息など、未だ十分な薬が無い慢性アレルギー疾患に対する、新たな作用機序を持つ抗炎症抗アレルギー創薬につながる可能性があります。
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