抗がん剤インドロカルバゾールの骨組みを構築する
酵素の立体構造を解明
- 放線菌がインドロカルバゾールを作り出すメカニズムの一端が明らかに -
PRESS RELEASE HIGHLIGHT
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シトクロムP450StaPの全体構造とCPA(水色)が結合する部位の拡大図 土壌中にはカビや細菌など多種多様な微生物が生息しています。中でも細菌の一種である放線菌は、土壌1グラム中に数百から数万個も存在し、物質循環の分解者の役目を果たしているだけでなく、結核治療薬として知られるストレプトマイシンなどの抗生物質や農薬などを作り出す、人類にとって極めて有用な微生物です。
 この放線菌の生産する化学物質“インドロカルバゾール”は、抗がん剤や白血病、糖尿病性眼疾患の治療薬として国内外で期待が高まっています。 2002年に富山県立大学の尾仲宏康講師がこの注目の化学物質を作り出す一連の酵素を発見し、そのなかでシトクロムP450StaPが骨格構造をつくる重要な段階に関与していることを突き止めました。しかし、この酵素が骨組みを作り上げる仕組みはナゾのままでした。
 理研播磨研究所の城生体金属科学研究室は、同講師と共同で、シトクロムP450StaPがインドロカルバゾール骨格材料のクロモピロリン酸(CPA)と結合した複合体を結晶化し、大型放射光施設SPring-8を使って構造を解明しました。その結果、酵素はインドールカチオンラジカルという特殊な中間体を経由し、目的の骨格を作り出すことが明らかとなりました。この立体構造の解明で骨格形成の仕組みが詳細にわかるようになり、さらに改良型シトクロムP450StaPを設計することで、薬理効果の高い新たなインドロカルバゾール系抗がん剤などの創製に貢献すると期待されます。
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