1895年にドイツの物理学者のW.C.レントゲンによって発見されたX線は、波長が短い電磁波で透過性が高い光として知られています。レントゲンは、手を透過し骨と指輪を映し出したX線写真を撮影していますが、その後、X線写真やCTなど医療分野でも診断技術を革新的に発展させました。
この透過性が強いX線を、普通の光のように利用することができれば、夢の顕微鏡の開発や、高速で膨大な情報を処理することができるX線素子の開発が可能になり、私たちの生活に革新をもたらします。
理研放射光科学総合研究センター石川X線干渉光学研究室は、X線領域で発生する非線形光学現象のパラメトリック下方変換を高精度で計測し、この変換がコンプトン散乱と干渉していることを発見しました。
パラメトリック下方変換は、X線の1つの“親”光子が物質中の電子と相互作用を引き起こし、2つの光子の“姉妹“に分かれる非線形光学現象を言います。 1,000億分の1の確率で生まれる二つの光子は、強度が親光子の1,000億分の1と弱いため、これまで正確に計測することができませんでした。研究チームはダイヤモンド結晶にX線を照射し、独自の測定器で微弱な”姉”光子を高精度で計測しました。同時に、X線の光子が電子にエネルギーを与えて、波長が長くなるコンプトン散乱が減少することを発見しました。
この計測と発見によって、難しいとされていたX線非線形光学の分野が開拓されるとともに、X線領域での量子光学の扉を開くことになります。物質や情報処理などの分野に革新をもたらす基盤を築く期待が高まりました。
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