酸性土壌の耐性に関わる新規の植物遺伝子を同定
- 酸性土壌で生育できる作物の品種改良に道 -
PRESS RELEASE HIGHLIGHT
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pH倍地条件下での根の伸長状態 土壌は水分や養分の保持能力を持ち、多くの生物がすむ環境をつくり出しています。人類はこの土壌の特性を利用して穀物や野菜などの作物を育て、食糧を得る営みを続けてきました。しかし、地球上には砂漠や険しい山岳地帯、北極圏や南極圏など、作物の生育に適さない土地があり、農林業に利用することができる耕作地は、全陸地の約50%とされています。さらに、塩類土壌や砂漠土壌、泥炭土壌など耕作に適さないやせた土地もたくさんあります。酸性土壌もその一つで、農業可能な土壌の約30%を占めています。酸性土壌は、温度条件や雨水に含まれる水素イオンHなどの影響でさらに酸性化が進み、毒性を持つアルミニウムイオンの溶出などが起こり、作物の生育に悪影響を与えます。これを防ぐためには中和剤を使った土壌改良が欠かせませんが、膨大な資金が必要であるため、 「酸性土壌でも育つ作物の開発」が世界中で期待されています。
 理研バイオリソースセンターの実験植物開発室は岐阜大学と協力して、酸性土壌の耐性に関わる植物の遺伝子を世界で初めて見つけました。これは、アブラナ科のシロイヌナズナから見出した酸性条件下では根を伸ばすことができない変異体「stop1」の原因遺伝子で、この変異体は酸とアルミニウムイオンの両方に根が弱いという特徴を持っています。「stop1」は、健康な個体が持っている酸性土壌での防御機構が働かず、正常な遺伝子を導入すると酸耐性の機能を回復することも明らかとなりました。遺伝子の解析から、一塩基の変異が起こっていることも突き止めています。
 今回発見した遺伝子と酸ストレスとの酸耐性機構の関係を調べることで、酸性土壌でも育つ新品種を作り出すことが可能となります。
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