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研究の手法と結果 |
研究グループはまず、東京大学菅野純夫教授より供与されたクローンなどを用いて様々な長さのCIP4のEFCドメインを生産し、結晶解析に向く分子量が約35,000ダルトンの安定なEFCドメインのフラグメントを得ることに成功しました。このフラグメントのドメイン境界は、生化学的な手法で同定された生体膜変形に必須な領域のドメイン境界とほぼ一致していました(図2)。不純物のない状態まで精製したFBP17とCIP4のEFCドメインを用いて単結晶を作製し、大型放射光施設SPring-8の理研構造ゲノムビームラインT(BL26B1)で測定をしました。また、ジョージア大学のBi-Cheng Wang教授と共同でアメリカ合衆国Advanced Photon Source(APS)のSoutheast Collaborative Access Team(SER-CAT)22-IDビームラインを用い、その立体構造を原子レベルで決定しました。
解明した立体構造からEFCドメインによる生体膜陥入機構のモデルを構築し、低温電子顕微鏡や生化学的手法を用いて機構のモデル検証を試みました。さらに、FBP17が実際に細胞内でエンドサイトーシスの陥入ステップにおいて働いているかどうかを調べました。
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「EFCドメインは、二量体からなる長く湾曲した弓形の構造を持っていた」 |
| SPring-8からの高輝度なシンクロトロン放射光により、最終的にはFBP17とCIP4について、それぞれ2.6Å※2と2.3ÅのX線回折データを得ました。これらのデータよりEFCドメインの立体構造を決定し、EFCドメインが二量体からなる、長く湾曲した弓形の構造を持っていることを明らかにしました(図3)。さらに、立体構造に立脚した生化学的解析を行い、EFCドメインが湾曲したカーブの内側で生体膜と相互作用し,生体膜をチューブ化していることを明らかにしました。EFCドメインと相同性のあるドメインとしてBARドメインが知られています。EFCドメインはBARドメインよりも数倍以上太いチューブを作ることが知られており、実際EFCドメインの二量体の曲率は推察していたとおり、BARドメインの二量体よりも緩やかであることがわかりました。 |
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| (2) |
「EFCドメインが脂質膜にらせん状にまきつきチューブ化するモデルを提唱」 |
興味深いことにFBP17とCIP4のEFCドメインは、結晶の中で二量体の端がつながったフィラメント状の構造を形成していました。このフィラメント形成に重要であると考えられるアミノ酸残基に変異を導入すると、EFCドメインによる脂質膜チューブ化の活性が失われました。このことからEFCドメインによる脂質膜チューブ化には、EFCドメインのフィラメント化が必須であることがわかりました。また、EFCドメインのフィラメントは、二量体同士の接合面でフレキシブルに曲がることができるような構造を持っていました。
これらの事実を考慮してEFCドメインによる生体膜チューブ化モデルを構築しました(図4)。このモデルでは、EFCドメインがカーブの内側で生体膜と相互作用しながら脂質膜にらせん状に巻付くようにフィラメントを形成することで脂質膜をチューブ化すると提唱しています。
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「チューブ化した脂質膜を電顕撮影」 |
| EFCドメインによりチューブ化した脂質膜を氷包埋し、位相差低温電子顕微鏡※3を用いて観察したところ、立体構造から予測したチューブ化モデルと非常に良く対応する縞模様を持つ脂質膜を観察しました(図5)。電子顕微鏡で観察したチューブ状の脂質膜の直径の最小値は、約650Åで、これはEFCドメインの二量体のカーブに対応するチューブの直径(約600Å)と非常に近い値でした。また、脂質膜のチューブの表面に表れている縞模様の間隔は約40Åで、この値もチューブに巻付いたEFCドメインのフィラメントの最も太い部分の長さとほぼ一致していました(約35Å)。 |
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「FBP17は陥入時間と部位を見計い出現」 |
EFCドメインを持つFBP17が、実際にエンドサイトーシスを起こしている部位に現れるかどうか調べるために、TIRFM※4を用いてクラスリン依存性エンドサイトーシスを起こしている部位を観察しました。
クラスリン依存性エンドサイトーシスを起こしている部位をTIRFMで観察すると、しばらくの間、蛍光標識されたクラスリンの蛍光は一定の強度を保っていますが、少しずつ強度が弱くなりやがて消えてしまいます。強度が少しずつ弱くなっていく時間は、クラスリン被覆小胞がちょうど陥入を起こしている時間に対応していると考えられます。FBP17は、クラスリン被覆小胞が陥入を起こしていると考えられる間、エンドサイトーシスを起こしている部位に現れることを突き止めました(図6)。
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| これらの結果から、FBP17やCIP4等のEFCドメインを持つタンパク質がクラスリン依存性のエンドサイトーシスなどの生体膜陥入ステップにおいて非常に重要な働きをしていることが示されました。 |