ありふれた精神疾患として知られている統合失調症やうつ病ですが、その発症の原因やメカニズムはまだ良くわかっていません。統合失調症は国を問わず人口の1%ほどの割合で発症しているといわれています。うつ病の発症率も10%とされ、いずれも原因・メカニズムの解明と予防・治療法の開発が待ち望まれています。これらの精神疾患の研究が進むにつれ、環境要因に加え遺伝的な要因も関係していることなどが明らかとなってきました。原因となる遺伝子群と複雑に絡み合う環境要因群をさらに明らかにするために、モデル動物を使った実験が欠かせません。ところが、これらの疾患を発病するモデルマウスの開発が十分に進んでいませんでした。
理研ゲノム科学総合研究センター個体遺伝情報研究チームは、カナダのマウントシナイ病院研究所、英国エジンバラ大学と共同で、統合失調症に関与するといわれてきた遺伝子のひとつ「Disc1」にアミノ酸置換変異をもつ、統合失調症とうつ病の2系統のモデルマウスの開発に成功しました。同じ遺伝子上の点突然変異で統合失調症とうつ病という異なる精神疾患を発症するモデルマウスを開発したのはこれまで世界に例のないことです。二つの精神疾患の解明や治療法の開発に大きく貢献していくとともに、人の精神構造の成り立ちを基礎研究の面から解明することが出来るツールを得たことになりました。
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