生物は、DNAの情報を正しく伝えるために、不要な遺伝子を働かなくさせるスイッチを備えています。「DNAのメチル化」と呼ぶこのシステムは、発現してはいけない遺伝子の機能を止めたり、進化の過程で取り込んだパラサイトを押さえ込むために存在するとされています。このメチル化は、遺伝情報をもとに正しく行われていれば問題はないのですが、正しくメチル化が行われないと、がんや遺伝病、生命の発生時に障害を起こすことになります。実際に、がんを抑制する遺伝子のメチル化の異常が、がんを引き起こす一つの要因であることが明らかとなっています。そのため、DNAメチル化が、遺伝子のどの位置で、どれだけの量起きているのかを知ることが、病気の診断・治療に欠かせません。
フロンティア研究システムの岡本独立主幹研究ユニットは、DNAのメチル部位に結合する金属錯体を開発、蛍光色素や電気シグナル素子を連結することで、特定の遺伝子のメチル化を1〜3時間程度で検出する手法を完成させました。従来、一晩もかかっていたメチル化の診断が簡単かつ正確に判断できることから、がん診断などに威力を発揮することになりました。
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