“汚い”物質中の電子が持つ美しい対称性『共形不変性』を
世界で初めて実証
- 不規則系の臨界現象における理論手法の構築の第一歩 -
PRESS RELEASE HIGHLIGHT
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フラクタルの例。 A:地上からと気象衛星から見た雲(気象庁ホームページより)。B:金属−絶縁体相転移の臨界点でのマルチフラクタル性を有する電子状態。 氷が解ける融点、水が固まる凝固点、水が蒸気となる沸点は、それぞれ液相(液体)、固相(固体)、気相(気体)に相転移することを意味します。相転移の条件は、温度の変化や加える圧力などさまざまです。さて、問題。極低温で金属が絶縁体に変わる相転移の条件は何でしょうか?
 正解は、「“汚い”こと」。不純物や結晶の格子欠陥を多く持つ“汚い”物質は、電気の通りやすい金属内で電子が動くのを邪魔して、やがて絶縁体となるのです。相転移を起こす点(臨界点)のあたりでは、突然性質の変わる臨界現象が起こりますが、この臨界点での物理現象を説明できる理論はありませんでした。
 理研中央研究所の古崎物性理論研究室は、米国シカゴ大学、カリフォルニア大学と共同で、この臨界点では“汚い”物質の中の電子が美しい対称性(共形不変性)、及びマルチフラクタル性を持っている、と理論付けました。フラクタルとは、例えば、図Aに示すように、窓から眺めた雲と気象衛星から撮影された巨大な雲が良く似た形をしているのと同様、“自己相似構造”を持ち続けていることです。本研究では、図Bに示すように“汚い”物質中の電子状態にも臨界点で自己相似構造が現れ、さらにその自己相似構造には、角度を変えない座標変換をしても系が不変に保たれる『共形不変性』という“美しい”対称性が隠されていることを明らかにしました。
 今回の成果は、半導体デバイスなどに使われる物質への理解に、革新をもたらすことになりそうです。
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