電子計算機(パソコン)をはじめ、電子手帳、電子カルテ、電子商取引、電子政府など、私たちの生活に欠かせないものには、「電子」が働いています。電子は、 1897年J.J.トムソンが行った陰極線の実験で、「粒子の一つ」として見つかりました。理科の授業で、「電子は原子核の周りを飛び回っている」 と学び、「電線の中を走り回る電子を電球で光らせよう」、「電子を電流計で計測してみよう」など実験したことを思い出す方も多いのでは?
研究者は、超高速で走り回る電子の中に新しい科学技術のカギが隠されていると考え、その姿を計測しようとあくなき挑戦を続けてきました。
理研中央研究所の緑川レーザー物理工学研究室は、強力な極短パルスレーザー光を気体の原子や分子に集光し、世界最速の電子の運動を観測することに成功しました。これは、1,000兆分の0.69秒(690アト秒)という間に原子の外に飛び出した、2つの電子のレースの様子を計測したものです。
この計測は「アト秒のシャッター」ともいうべきパルス光の発生機構を用いることで初めて可能となり、アト秒パルス光の新しい制御方法を確立したことにもなりました。今回の研究成果は、アト秒という一瞬の時間に動き回る電子の運動を観測・制御する道を拓き、科学技術の新たな扉を開けることになりそうです。
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