統合失調症の発症関連遺伝子群を日本人で発見
- 統合失調症の病因解明・治療につながる一歩新たな道 -
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 ノーベル経済学賞受賞者として知られているジョン・ナッシュ。彼は、映画『ビューティフル・マインド』でも描かれているように、「統合失調症」をかつて患っていました。統合失調症は妄想や幻覚、意欲の欠如など様々な症状を示す精神疾患の一つで、全人口に占める発症率は1%と、決して珍しくはない病気です。
 統合失調症の発症には、いくつもの遺伝子と環境要因などが複雑に絡み合い、さらに人種によって危険因子が異なる可能性もあります。これまでの研究から、脳内の複数の神経伝達経路の異常が、発症に関与していると考えられていますが、これらの神経伝達系の異常を包括的に説明できる知見は今まで得られていませんでした。
 理研脳科学総合研究センター分子精神科学研究チームを中心とした研究グループは、日本人の統合失調症患者家系の協力を得て、統合失調症に関与する「カルシニューリン系遺伝子」を複数同定することに成功しました。見つかった遺伝子のうちEGRファミリー(EGR1EGR2EGR3, EGR4)は、世界で初めての発見です。カルシニューリンは統合失調症で変調することが示唆される“ドーパミン神経伝達”や“グルタミン酸神経伝達”を調整する作用があり、今回の成果を踏まえ、今までの統合失調症に関する発症メカニズムを包括的に説明できる可能性があります。また、カルシニューリン伝達系を標的とした新たな治療薬の開発が期待されます。

統合失調症罹患者の死後脳でのEGR1,EGR2,EGR3遺伝子の発現量は下がっている
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