脂肪酸は、体の必須栄養源で、エネルギーを発したり、体の調節を行うホルモンなどとして活用されています。ところが、とり過ぎたり、代謝異常が起こると、肥満や高脂血症ばかりか生命を脅かすさまざまな病気の原因となり、メタボリックシンドロームの要因としても国民の関心が高いものです。
脂肪酸の代謝は、細胞内小器官であるペルオキシソームとミトコンドリアで行われ、特にペルオキシソームでは長い鎖長の脂肪酸の代謝を担当しています。これまでの研究で、代謝経路に関わる主要な酵素が「プロセッシング」という修飾を受け、成熟して活性化し、代謝を促進するとされていました。ところがこの修飾を行うほうの酵素「ペルオキシソームプロセッシングプロテアーゼ(PPP)」は、長年国内外の研究者が追い求めてきたものの発見されていませんでした。
理研は、学校法人埼玉医科大学との共同研究で、この脂肪酸の代謝に重要な役割を果たすPPPをついに発見しました。新酵素は「Tysnd1」と呼ばれるもので、脂肪酸燃焼に関わる主な酵素をすべて切断して成熟させる機能を持ちます。さらに、高脂血症治療薬を投与したマウスの肝臓で、この酵素が増加することもわかりました。
これらのことは、脂肪酸代謝に関わる疾患、例えば、肥満、脂肪肝、高脂血症の治療や創薬につながる大きな手がかりを得ることになり、国民的な関心事の解決に一石を投じたことにもなります。
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