花粉症、アトピー性皮膚炎、喘息に代表されるアレルギーに悩まされる人たちは、この20年間で先進国を中心に急激に増加し、今や国民の30%が罹患している、と言われています。これは、衛生環境が向上し、ばい菌や寄生虫などに汚染されることがなくなったためだ、とする「衛生仮説」で説明されています。例えば、結核予防に広く用いられている、結核菌を弱毒化したBCGワクチンを接種すると、アレルギー症状が緩和することが報告されています。しかし、そのメカニズムは謎のままとなっていました。
理研免疫・アレルギー科学総合研究センターの免疫制御グループは、千葉大学大学院医学研究院との共同研究で、細菌成分がアレルギーを制御する仕組みを明らかにすることに成功しました。衛生環境の向上に逆行する、結核菌を弱毒化したワクチン「BCG」の接種が、「ナチュラルキラーT細胞(NKT細胞)」と呼ばれるリンパ球を活性化し、「免疫グロブリンE (IgE) 」という抗体(アレルギーの原因)を産生する「Bリンパ球」を細胞死へ導くという衛生仮説を裏付ける新たな機構を発見したのです。
また、NKT細胞がIgE抗体産生を抑制する仕組みは、ヒトにも存在するだけでなく、この仕組みの異常でIgEが減少しない個体が存在し、遺伝的背景といった衛生仮説以外の要因が存在する事もあることが解りました。
この発見は、BCGや細菌構成成分などを用いたアレルギー治療法の開発や、アレルギー発症のメカニズムの研究を大きく促進することになります。
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