「バイオマス」という言葉を聞いたことがありますか?食料や資材、燃料など、太陽エネルギーを蓄えた生物を原料とする資源のことです。陸上のおよそ30%にあたる35億ヘクタールは森林に覆われていて、この森林の樹木が蓄えているバイオマスは1.2〜2.4兆トンにもおよびます。この量は人間が1年間に消費するエネルギーの約100倍に相当します。この陸上バイオマスの由来となっている細胞が「木質細胞(もくしつさいぼう)」です。木質細胞には、植物体の支持として働く“繊維細胞”、水の通り道として働く“道管”、植物体の支持と水の通り道として働く“仮道管”がありますが、いずれの細胞も「二次細胞壁」と呼ばれる非常に厚い細胞壁を持ち、二次細胞壁にバイオマスエネルギーが蓄えられています。したがって「陸上最大のバイオマス」の本体は、木質細胞の二次細胞壁であるといえます。
理研植物科学研究センター形態制御研究チームらは、この二次細胞壁の生産を制御する遺伝子として「SND1」という遺伝子を同定しました。SND1を抑制すると細胞壁が薄くなり植物体はへなへなになりました。
同研究チームは、すでに2種類の道管の分化を制御するマスター転写因子として「VND6」と「VND7」を同定していますが、今回の研究でVND6・VND7とよく似た転写因子SND1が、繊維細胞の二次細胞壁形成を制御する鍵を握ることを突き止めました。
今後さらに研究が進めば、より生産性が高く、バイオエネルギーに転換しやすいなどの優れた品質を持った「スーパー樹木」を生み出すことが可能になると期待されます。
|