冷たい「のろのろ反水素原子」の生成に新手法
- 自然のささやきに耳を傾ける第一歩 -
PRESS RELEASE HIGHLIGHT
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反水素原子の生成と捕捉をする装置 宇宙や私たちが住んでいる地球などに存在しているものは“物質”です。宇宙の創世記には、“物質”と“反物質”が生成・消滅を繰り返し、消滅せずに残ったのが現存する粒子や原子や分子などのような“物質”であると言われています。そして、“反物質”は宇宙の片隅に残っている可能性が議論されてきましたが、観測はできず、仮想のものとされてきました。しかし最近、反粒子やそれらからできた反原子で構成する反物質を人工的に作り上げることができるようになり、長年謎とされてきた反物質の性質や振る舞いを知ることができるようになりつつあります。反物質を知ることは物質を知ること、すなわち私たちの世界を知ることにつながります。さらに、物質と反物質がどの様に違うかを知ることにより、なぜ物質からできている私たちがここにいるのかといった存在の根元に関わる疑問にも答えることができるようになります。
 理研中央研究所山崎原子物理研究室や東京大学の研究グループは、開発した「カスプトラップ法」により、最も簡単な反物質である“反水素原子”を、ミリケルビンという絶対ゼロ度に近い極低温まで冷やして蓄積できることを示しました。これは、物質と反物質の違いについての自然のささやきを大変高い感度で観測することを可能にします。
 またカスプトラップ法は、“反水素イオン”を生成する能力があります。反水素イオンは物質と共存できる初めての反物質と言えますが、これにレーザー冷却されたイオンを混合すると、マイクロケルビン領域の反水素原子を得ることもできます。宇宙を支配している重力と反物質の感系が初めて明らかになる、というわけです。宇宙の成り立ちの謎への挑戦も一歩ずつ進んでいきます。
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