においは動物の様々な生命現象に関わっています。たとえば、動物が食物を探すとき、仲間や敵を識別するときの重要な指標となっており、繁殖能力や生殖行動を制御する機能も持っています。動物の生存に必要不可欠な嗅覚コミュニケーションの分子メカニズムを明らかにすることは、今後の生命科学の重要な課題の一つです。
理研フロンティア研究システムスフィンゴ脂質発現制御研究チームと岩手大学農学部の共同研究グループは、ネコの尿中に大量に存在している「コーキシン」というタンパク質が、ネコ特有な尿臭の生産メカニズムに重要な役割を果たしていることを解明しました。臭いのもととなっているアミノ酸の一種「フェリニン」を生産するときに、このコーキシンが酵素として触媒していたのです。
他のほ乳類とは違い、健康なネコの尿の中には生理的に大量のタンパク質が含まれているという珍しい現象に着目した研究グループが、2003年にネコの尿中から発見した新規タンパク質が「コーキシン」で、その構造と「好奇心」という言葉から由来して名付けられました。
少子化・核家族化が進みストレスの多い現代社会でペットに安らぎを求める人が多くなり、ネコの飼育頭数は年々増加しています。しかしネコ独特の強い尿臭は、ペットとして共に生活する上で大きな障害になっています。この研究成果により、飼い主や近隣の人を悩ませているネコの尿臭問題を解決する糸口が見つかったと期待できます。
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