プレスリリース 独立行政法人 理化学研究所
NMR施設利用モニターの募集について
- 理研が所有する「NMR立体構造解析パイプライン」を外部研究者に開放 -
平成18年10月12日
 独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)は理研ゲノム科学総合研究センター(榊佳之センター長)が所有するNMR(核磁気共鳴)※1施設の平成19年度上半期を目標とした外部研究者(民間企業を含む)への本格的な開放に向け、NMR装置利用とNMR解析試料の調製からタンパク質の立体構造の決定までを一貫して行う「NMR立体構造解析パイプライン※2の利用に関するモニターの募集」を平成18年10月12日(木)から開始いたします。
 理研が所有するNMR施設は、文部科学省の委託事業「タンパク3000」プロジェクトの「網羅的解析プログラム」(H14〜H18)において、年間約300のタンパク質立体構造のNMR解析を行っています。平成19年度以降は、本プロジェクトでの技術開発、施設整備、人材育成、解析体制の構築などの成果、特に、本施設が世界に誇るNMR立体構造解析パイプラインの機能を活かしながら、我が国の今後のライフサイエンス研究のステップアップに貢献できるNMR施設の新たな活用推進方策を展開していきたいと考えております。すでに、利用者である産学の研究者を中心メンバーにした「NMR施設検討会」(主査:大阪大学蛋白質研究所 阿久津秀雄 教授)を設置し、ライフサイエンス研究におけるNMR施設の今後の活用方針や、「共同利用型」の共用方式による外部研究者の受け入れ方などについて検討を行い、検討結果を取りまとめています。
 この検討結果をもとに、外部有識者による課題審査を含む施設の本格的な外部開放を平成19年度開始を目標に検討しており、外部利用者の意見を参考にして更なる詳細な制度設計を行うため、利用モニターの募集をすることにしました。
 検討結果の概要及び外部モニターの募集に関する詳細については、下記URLから閲覧できます。モニター利用を希望される方には、応募要領に従い、申請書類の提出をお願いします。 URL: http://www.yokohama.riken.go.jp/jpn/news/061012/index.html


1. 背 景
 理研横浜研究所ゲノム科学総合研究センターのNMR(核磁気共鳴)施設は、タンパク質の立体構造と機能の解析を行う高性能NMR装置40台を備え、世界最大の集積台数を誇る施設となっています。
 NMRは、有機化合物や生体高分子等の構造や性質を調べるために広く使われている分析装置のひとつです。特にNMRを使った分析は、溶液という生体と同じ生理的な条件でタンパク質の動的な高次構造や分子間相互作用の解析を行えるという特徴があります。このため、ポストゲノム研究として注目されるタンパク質の立体構造解析でX線結晶構造解析と並び有効な方法となっています。
 理研構造プロテオミクス研究推進本部(RIKEN Structural Genomics/ Proteomics Initiative, RSGI)では、この施設を用いて、文部科学省の委託事業「タンパク3000」プロジェクトの「網羅的解析プログラム」で、年間約300のタンパク質構造のNMR解析を行っており、このような解析能力および効率は、国際的にも類を見ないほど高いものです。
 平成18年度は、タンパク3000プロジェクトの最終年度となります。平成19年度以降は、本プロジェクトでの技術開発、施設整備、人材育成、解析体制の構築などの成果、特に、NMR立体構造解析パイプライン(図1)を活かしながら、今後の我が国のライフサイエンス研究のステップアップに貢献ができる新たなNMR施設の活用推進方策の検討が求められています。
 実際、本NMR施設は、タンパク質のNMR解析に関して、国内外の外部研究者への開放を求める声も強く、薬剤候補の低分子化合物についてのNMR解析など、タンパク質立体構造解析以外の研究に関しても、本NMR施設を開放する希望があります。
 しかし、独立行政法人化された研究機関が所有する研究施設には、SPring-8を除いて本格的に外部研究者に開放(共用に供)された例があまりなく、共用の仕組みの制度化には不十分な点があります。
 このため、NMR施設を共用に供することについての基本的な考え方を新たに設定する必要があり、プロジェクト実行主体としてのRSGIを中心に「NMR施設検討会」を設置し、理研内外の研究機関や企業からの意見を集約しました。ライフサイエンス研究におけるNMR施設の今後の活用方針や、「共同利用型」の共用方式による外部研究者の受け入れ方、利用に関わる経費負担のあり方、共用制度運営の効率性・透明性の確保等のあり方などについて検討し、取りまとめました。
 この結果をもとに、施設の本格的な外部開放を平成19年度上半期の開始を目標に検討していますが、それに先立ち、外部利用者の意見を参考にして更なる詳細な制度設計を行う必要があるため利用モニターの募集を実施します。
 募集した利用モニターの意見などを通じて、外部開放の適正規模、外部開放の種類の検討、外部開放に伴い生じる問題点、アカデミック分野における成果を公開する利用形態と成果を占有する利用形態、外部開放料金の算定、受託研究課題の受入に関する検討、外部研究者の受入に伴う手続き・契約等、成果の取扱に関する制度設計を行います。


2. 応募条件
 NMR利用の経験の有無については問いませんが、公的研究機関、民間研究機関等に勤務されている方に限ります。


3. 選考方法
 提出頂いた理研NMR施設利用申請書(URLよりダウンロード)をもとに、利用モニター課題としての適正を判断の上、選考致します。


4. スケジュール
利用モニター募集開始
平成18年10月12日(木)
利用モニター募集〆切 平成18年11月15日(水)
利用モニターの決定 平成18年11月下旬
利用モニター受入開始 平成18年11月下旬〜平成19年3月
※ 募集に関する詳細については
URL:http://www.yokohama.riken.go.jp/jpn/news/061012/index.html
をご覧下さい。なお、ご提出頂いた申請書につきましては、返却致しませんので、予めご了承願います。


(問い合わせ先)

独立行政法人理化学研究所横浜研究推進部
 企画課  課長 仙波秀志

Tel: 045-503-9117 / Fax: 045-503-9113

(報道担当)

独立行政法人理化学研究所 広報室 報道担当

Tel: 048-467-9272 / Fax: 048-462-4715
Mail: koho@riken.jp


<補足説明>
※1 NMR(核磁気共鳴)
原子核には核スピンがあり、これがゼロではない水素や炭素原子は強い磁場の中に置かれると、二つのエネルギー状態に分かれることが知られている。このエネルギー差に相当する電磁波を当てると、共鳴現象が起きて電磁波が吸収される。その振動数は、原子核の種類と磁場の強さで決まるが、原子核の周りの電子の状態に影響されるので、周辺の電子の分布や原子の結合状態を知る手がかりになる。従って、分子構造の決定手段として利用される。近年ではコンピューターを利用したMRI(磁気共鳴造影法)として、病気の診断に役立っている。
※2 NMR立体構造解析パイプライン
タンパク質のNMR解析適合性の判定、安定同位体標識試料の調製、多次元NMRデータの測定、これに基づくタンパク質の立体構造の決定などをスルーして行う設備。


図1 NMR立体構造解析パイプライン

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