抗生物質カスガマイシンのタンパク質合成阻害機構を解明
- 超分子複合体リボソームをX線で結晶構造解析 -
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(図) 2分子のカスガマイシンがリボソーム上のmRNA結合部位を占有していたため、 mRNAの結合に加えて、開始用tRNAの結合も阻害していました
 1920年代、英国のA.フレミングによるペニシリンの発見は、その後、多種多様な抗生物質の発見へとつながりました。その結果、これらの抗生物質は、病気の治療薬や抗菌剤として、私たちの生活に重要な役割を果たしています。
カスガマイシンは、1960年代に、わが国の梅澤濱夫博士らによって奈良市の春日大社で発見された抗生物質の一種で、カビや微生物に作用します。特に、イネのいもち病に効果が高く、農業分野で広く利用されています。
 カスガマイシンは、生物のタンパク質合成装置「リボソーム」と、タンパク質合成の際にはたらく物質(tRNA)との相互作用を直接的に妨げることで、タンパク質合成を阻害すると考えられていましたが、その詳細は不明でした。
 理研ゲノム科学総合研究センターのタンパク質構造・機能研究グループは、ドイツのマックスプランク研究所と共同で、このメカニズム解明に挑みました。カスガマイシンとリボソームが結合した複合体のX線結晶構造解析などの研究から、カスガマイシンは、これまで考えられていたtRNAではなく、タンパク質合成の際にはたらく他の物質(mRNA)とリボソームの相互作用を妨げていることなどを発見しました。その結果、タンパク質合成の開始過程が妨げられ、ひいてはカビや微生物のタンパク質合成が阻害される新たなメカニズムを解明しました。この知見は、抗がん剤などの医療用抗生物質創製や農業などの産業応用に結びつくと期待されます。
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