プレスリリース 独立行政法人 理化学研究所
国立大学法人 筑波大学
理化学研究所と筑波大学が開発・利用で基本協定締結
- 世界最速次世代スーパーコンピュータを目指し連携 -
平成18年9月7日
 独立行政法人理化学研究所(理事長:野依良治、以下「理研」という)と国立大学法人筑波大学(学長:岩崎洋一、以下「筑波大学」という)は、文部科学省の「最先端・高性能汎用スーパーコンピュータの開発利用」プロジェクト(以下「本プロジェクト」という。)を推進するため、連携・協力に関する基本協定を9月8日に締結します。
理研は、平成17年10月、文部科学省より「次世代スーパーコンピュータ」の開発主体として選定されたことから、平成18年1月1日に野依理事長を本部長とする「次世代スーパーコンピュータ開発実施本部」を設置し、このプロジェクトに取り組んでいます。
 世界最速のスーパーコンピュータを目指して、我が国は、過去に「数値風洞(開発期間平成元〜4年度)」(航空技術研究所(当時))、CP−PACS※1(開発期間平成4〜8年度)」(筑波大学)、「地球シミュレータ(開発期間平成9〜13年度)」(宇宙開発事業団、日本原子力研究所、海洋科学技術センター(全て当時))と開発を行ってきました。これらのプロジェクトは、ナショナルリーダーシップシステムとして、その完成時には世界トップの性能を示し、各分野の研究でブレークスルーを実現しました。
 理化学研究所では、平成12年に分子動力学シミュレーション専用計算機※2を開発し世界最速コンピュータとしてゴードンベル賞の「ピーク・パフォーマンス賞」を受賞し、平成16年には世界初となる異機種統合スーパーコンピュータを開発し、運用するなどの実績を有しています。一方、筑波大学では,計算科学研究センターを中心に、物理学をはじめとする科学諸分野の研究者と計算機工学の研究者が協力し、科学の重要課題に優れた実効性能を発揮するスーパーコンピュータの開発に高い実績を挙げてきました。平成8年度から17年度まで稼動したCP−PACSは、当初目的であった素粒子物理学などの基礎物理学分野で高い成果を挙げ、同機をベースに開発された汎用スーパーコンピュータと共に、科学技術の幅広い分野で従来にない高度かつ高精度のシミュレーションを開拓しました。さらに、現在CP−PACSに続くPACS−CS※3の開発を進めています。
 協定締結は、次期ナショナルリーダーシップシステムの開発のため、筑波大学において長年培われてきたこれらの開発や運用の知見を活用し、次世代スパコン開発の効果的、効率的な推進を目指すもので、相互に両機関の研究開発能力や人材等を活かした連携・協力を行います。
 理研がスーパーコンピュータに関して協定を結ぶのは、平成18年6月14日に独立行政法人海洋研究開発機構(理事長:加藤康宏)との締結に続いて、2例目となります。

協力内容
最先端・高性能汎用スーパーコンピュータの開発及び運用に関する情報交換、共同研究の実施、人材交流、人材養成、産業界及び他機関との連携・協力を実施するのに必要な事項等の実施を基本として今回の基本協定書を締結します。具体的な内容についてはその都度個別契約等を締結していきます。

協定期間
平成18年9月8日から平成23年3月31日


1. 基本協定締結へ至った経緯
 理研では、文部科学省の「最先端・高性能汎用スーパーコンピュータの開発利用」プロジェクト(以下「本プロジェクト」という。)の開発主体として、平成18年1月1日から野依理事長を本部長とする「次世代スーパーコンピュータ開発実施本部」を設置し、次世代スーパーコンピュータの開発に取り組んでいます。スーパーコンピューティングの分野では、平成12年に分子動力学シミュレーション専用計算機が世界最速コンピュータとしてゴードンベル賞の「ピーク・パフォーマンス賞」を受賞し、その後もスーパーコンピューティングの研究開発を続け、平成16年には情報基盤センターが世界初となる異機種統合スーパーコンピュータ(理研スーパー・コンバインド・クラスタ)※4を開発し運用するなどの実績を蓄積しています。
 一方、筑波大学は、1980年代以来の長年にわたるスーパーコンピュータの開発の実績を持っています。平成8年に完成したCP−PACSは同年11月にLINPACK(リンパック)※5による世界最高性能を達成し、以来平成17年まで運用し続け、素粒子物理学をはじめとする基礎物理学の分野で最先端の成果を挙げてきました。同大学のスーパーコンピュータ開発・運用の特徴は、物理学をはじめとする科学諸分野の研究者と計算機工学の研究者が同一拠点において密接に協力してシステム開発を行ってきた点で、科学の具体的な課題に対して優れた実効性能を発揮するシステムの開発・運用に優れた経験の蓄積と研究者陣を有しています。これらの特色ある活動は計算科学研究センターを中心に展開し、現在開発を進めているPACS−CSにおいても一層強化しています。
 こうした両機関が有するスーパーコンピュータの開発運用及びシミュレーション分野における知見を両機関が連携・協力して活用していくことは、本プロジェクトの推進に極めて有効であることから、今回の基本協定の締結をするに至ったものです。


2. 基本協定の範囲
(1)情報交換
(2)共同研究などによる研究開発
(3)人材交流や人材養成
(4)産業界や他機関との連携・協力
(5)その他本協定の目的を達成するために必要な事項


3. 「最先端・高性能汎用スーパーコンピュータの開発利用」プロジェクトについて
 本プロジェクトは、世界最先端・最高性能の次世代スーパーコンピュータの開発・整備及び利用技術の開発・普及を目的としています。
 理論、実験と並び、現代の科学技術の方法として確固たる地位を築きつつある計算科学技術をさらに発展させるため、長期的な国家戦略を持って取り組むべき重要技術(国家基幹技術)である「次世代スーパーコンピュータ」を平成22年度の稼働(平成24年の完成)を目指して開発し、今後とも我が国が科学技術・学術研究、産業、医・薬など広汎な分野で世界をリードし続けるべく、
 (1)世界最先端・最高性能の「次世代スーパーコンピュータ (注) 」の開発・整備
(注) 10ペタFLOPS級
(2)次世代スーパーコンピュータを最大限利活用するためのソフトウェアの開発・普及
(3)上記(1)を中核とする世界最高水準のスーパーコンピューティング研究教育拠点(COE)の形成
を文部科学省のイニシアティブにより、開発主体である理研を中心に産学官の密接な連携の下、一体的に推進しています。


(問い合わせ先)

独立行政法人理化学研究所
 次世代スーパーコンピュータ開発実施本部
  企画調整グループ  川井和彦、内田紀子

Tel: 048-467-9265 / Fax: 03-3216-1883
国立大学法人筑波大学
 計算科学研究センター
  折井 尚幸

Tel: 029-853-6486 / Fax: 029-853-6406

(報道担当)

独立行政法人理化学研究所 広報室 報道担当

Tel: 048-467-9272 / Fax: 048-462-4715
Mail: koho@riken.jp

国立大学法人筑波大学 広報課 広報・報道担当

Tel: 029-853-2040 / Fax: 029-853-2014


<補足説明>
※1 CP−PACS
筑波大学計算物理学研究センター(名称開発当時)が開発したスーパーコンピュータ。平成8年11月に世界最速(LINPACKベンチマークテストによる)を達成した超並列型スーパーコンピュータ。総プロセッサ数2048個、理論演算性能は614G(ギガ)FLOPS。陽子・中性子などの素粒子の性質、宇宙の進化における光の役割、物質の様々の性質などの基礎物理学の重要テーマの解明を目的に開発、使用されて高い成果を挙げた。同機をベースに開発された汎用スーパーコンピュータは工学分野の計算にも用いられ、科学技術における高度かつ高精度のシミュレーションを開拓した。
※2 分子動力学シミュレーション専用計算機(MDM)
大規模な分子動力学シミュレーションのための専用高速計算システム。MDGRAPE−2チップが1,536チップ、WINE−2チップが2,688チップ搭載されている。これらのチップ、MDMとも、理化学研究所の研究チームによって開発された。ピーク速度は75T(テラ)FLOPSである。MDMを用いた分子動力学計算において2000年に1.34TFLOPSを達成し、ゴードンベル賞のピーク・パフォーマンス部門で優勝(同様の成果をあげた東京大学の計算機とのダブル受賞)した。
※3 PACS−CS
筑波大学計算科学研究センターで開発を進めている並列コンピュータの名称。2560ノードのLinuxクラスタシステム(総演算性能14.3TFLOPS)であり、ギガビットイーサーネットを6本束ねたリンクにより3次元ハイパークロスバーと呼ばれる結合ネットワークを実現している特徴がある。日本国内メーカによるスーパーコンピュータとして地球シミュレータに次ぐ第二位の性能を有する。
※4 理研スーパー・コンバインド・クラスタ:RSCC
理研情報基盤センターが導入したスーパーコンピュータシステムの名称。RSCCは、2048CPUのLinuxクラスタシステム(総演算性能 12.4TFLOPS)を中核に、単一プロセスで大量メモリが必要な計算用の大規模メモリ計算機(共有メモリ型ベクトル計算機NEC SX−7/32、主記憶256GB、282.5GFLOPS)、利用窓口となるフロントエンド計算機、高速磁気DISK装置(20TB)、テープライブラリシステム(200TB)で構成されている。
日刊工業新聞社が主催する「第34回 日本産業技術大賞」の日本産業技術大賞・文部科学大臣賞を受賞。
※5 LINPACK
LINPACKとは、米国のテネシー大学のJ.Dongarra博士によって開発された行列計算による連立一次方程式の解法プログラムであり、スーパーコンピュータの世界的な順位を示すTop500リスト(毎年6月と11月に発表)を作成するためのベンチマークとして用いられている。

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