光には、X線、赤外線、紫外線などいろいろな種類があります。その中でも、今、研究者から熱い注目を浴びているのは「テラヘルツ光」です。テラヘルツ光はいままで見えなかった分子の動きを観察できたり、乳がんの検査に使えるなどの様々な可能性に満ち溢れています。ところが、これまでテラヘルツ光は発生も検出も大変難しく、未踏の領域といわれてきました。
光は、波と粒子(光子)と両方の性質を持ちますが、今回中央研究所の石橋極微デバイス工学研究室らは、「カーボンナノチューブ人工原子」という微少な構造を用いてテラヘルツ波を光子として検出することに世界で初めて成功しました。カーボンナノチューブは炭素でできた直径ナノメートルの筒状の物質で、この中に電子を閉じこめると自然の原子と同様に、電子がとびとびのエネルギーを持ち、「人工原子」として振る舞います。この「カーボンナノチューブ人工原子」を使ったトランジスタにテラヘルツ光をあて、人工原子内の電子がテラヘルツ光を吸収して電極に飛び出してくる現象を検出したのです。これはアインシュタインが発見した「光電効果」と同じ原理です。
この研究成果により、テラヘルツ波のまったく新しい超高感度検出器開発の応用へ発展することが期待されます。
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