細胞内pHバランスの新たな制御機構の解明
- pHの異常に起因する病気の治療につながる可能性 -
PRESS RELEASE HIGHLIGHT
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今回明らかにした細胞内pH調節の新たな機構  私たちの身体をつくる細胞。細胞の中の酸性度(pH)は、生体内で産出される「二酸化炭素」が「重炭酸イオン」に変換され、細胞膜を輸送されることにより、ダイナミックに変化しています。細胞内のpHは、細胞の集まりである臓器の働きにも関係しています。例えば膵臓(すいぞう)の細胞は、重炭酸イオンの分泌を行うことにより胃酸を中和する働きを担っています。また、腎臓では、血液内のpHを制御していますが、このバランスが崩れた場合、動脈内における血液のpHが低く(酸性)になり、pH異常の影響を受けやすい臓器である眼球に、緑内障、白内障、角膜障害、盲目などの異常を引き起こします。
 科学技術振興機構と理研脳科学総合研究センター発生神経生物研究チームらは、この細胞内のpHを制御する新規のタンパク質分子を明らかにしました。細胞内のカルシウム濃度を調整している「イノシトール三リン酸レセプター(IP3R)」に「イノシトール三リン酸(IP3)」が結合することでIP3Rから放出されるアービット(IRBIT)という分子が、細胞表面に存在する「ナトリウム・重炭酸イオン共輸送体(NBC)」に結合し、そのイオン輸送活性を飛躍的に上昇させることを発見したのです。今回の発見からさらに研究が進めば、将来的には、pHのバランスが崩れることにより起こる病気の治療や、消化酵素などの分泌不全によるヒトの病態への医学的応用が期待されます。
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