細胞は、生命の最小単位です。この細胞が働けるのは、細胞内でさまざまな仕事をしている「細胞小器官」のおかげです。この小さな器官は、細胞内に膜で囲んだ小さな区画を作り、さまざまな生命反応を分業する重要な構造を持っています。細胞小器官の一つ「ゴルジ体」では、細胞がつくったタンパク質を仕分けして外に運び出す役割を担っています。
ところが生命にかかわる重要なタンパク質が、ゴルジ体の中をどのように輸送されていくかは世界中の大勢の研究者が努力しているにもかかわらず謎のままでした。「小さな膜の袋(小胞)で輸送する」、「槽の性質が変わって成熟しながら運ぶ」という2つのモデルが、世界を二分して大論争が続いていました。
中央研究所中野生体膜研究室は、光学顕微鏡の限界を越え、ナノという微細な世界を生きたまま観察することができる世界初の高性能顕微鏡を開発、この論争に決着をつけました。槽が成熟しながらタンパク質を運ぶだけでなく、性質の違う膜を分離させ変化しながら移動させる新メカニズムを発見したのです。
この新顕微鏡の開発は、生きたままの細胞をナノの目で観察することを可能とするもので、今後、さまざまな生命現象の謎を解き、威力を発揮することになります。
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