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文部科学省 独立行政法人 理化学研究所 |
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(国際ハプロタイプ地図作成プロジェクト) 国際共同研究チームによるヒト全染色体のハプロタイプ地図完成 |
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| 平成17年10月27日 | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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国際ハップマッププロジェクトの目標は、ヒトゲノムにおけるDNA多型(本プロジェクトではSNP*1)の一般集団におけるパターンを特定し、この情報を社会の共有財産として医学や医療の発展のために自由に利用できるようにすることである。国際共同グループは、アフリカ、アジア、ヨーロッパのそれぞれを起源とする複数のヒト集団から計270人のDNAサンプルを収集し、100万種類以上のDNA多型の頻度や相互関連性の程度を解明して、ヒト全染色体にわたるDNA多型性パターンの地図を作成し、10月27日付けの英国学術誌Natureに発表する。このハップマップの完成によって、生活習慣病に代表される頻度の高い疾患(common disease)に関与する遺伝子や薬剤の応答性に関係する遺伝子の研究がより効率的になり、急速に推進されていくと考えられる。これらの成果として、治療法や診断法の開発につながる標的分子の同定が促進されるとともに、薬剤をより効果的に安全性高く投与する診断能力が向上する(医療のオーダーメイド化)と考えられ、21世紀の医療の発展に大きく寄与するものと期待される。 本プロジェクトは2002年10月に米国ワシントンにて開催された会議において、その基本骨格と各国の分担が決定され、スタートした。日・米・英・加・中の5カ国14センターがSNPのデータ作成に参画し(ナイジェリアは試料提供として参加)、日本では理化学研究所遺伝子多型研究センターが単独で参加し、7本の染色体(第5・11・14・15・16・17・19染色体)(現時点でのヒトDNA配列では24.3%に相当)のSNPタイピングを分担することになった。国別では、米国は日本を上回る約31%の貢献をしたが、研究機関別では、理化学研究所遺伝子多型研究センターが参加センター中最大の貢献となっている。 本プロジェクトでは5000塩基対毎に最低1カ所ずつのSNPを配置したハプロタイプ*2地図の作成を目標として設定した。解析に利用されたのは西・北欧系ユタ州住民(親子30組=90人)、ナイジェリアのヨルバ集団(親子30組=90人)、東京在住の日本人(44人、1名は技術的理由により除外)、北京在住の漢中国人(45人)の4集団計269人が提供した試料であった。JSNPデータベースや米国NCBIのdbSNPデータベースなどに登録されたSNPの中から選択された約110万カ所のSNPを解析した。その結果、DNA多型であることが確認されたのは、ヨルバ集団では92万カ所、ユタ州住民では87万カ所、日本・中国人(44人+45人を合わせて解析)では82万カ所であった。これら各センターで産出されたデータはコールドスプリングハーバー研究所に設置されたDCC(Data Coordination Center)に一括して整理され、一般に公開されている(http://www.hapmap.org/)。 なお、4つの集団からの試料の収集と解析は、対象となる集団との対話、参加者への十分な説明を経てのインフォームドコンセントの取得など、倫理的側面についても十分な配慮がなされた上で行われた(http://www.genome.gov/17015413)。 癌、心血管疾患、糖尿病、精神疾患などの頻度の高い病気は、複数の遺伝的要因と環境要因の組み合わせによって起こるが、これらの遺伝的要因を発見できれば、ヒトの病気の原因と増悪因子の解明に極めて重要な新知見がもたらされ、診断と治療の開発につながると期待される。これまでは、どのSNPを選別すれば、効率よく病気に関係する遺伝子を特定することができるか明らかではなかったが、本プロジェクトの情報を利用すると、選別すべきSNPを効果的に選別することができる。たとえば、日本・中国人では25万カ所のSNPを選別すれば(タグSNP*3と呼ぶ)、全ゲノムの98.5%の領域をカバーすることができることが明らかとなり、今後、DNA多型と病気の原因となるような遺伝的要因を結びつける体系的な研究が一気に加速するものと考えられる。
<注釈>
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