プレスリリース 独立行政法人 理化学研究所
科学警察研究所
科学警察研究所と理化学研究所遺伝子多型研究センターが、共同研究契約を締結
- 迅速かつ正確なDNA型判定システムの技術開発 -
平成17年1月25日
 科学警察研究所(取健彦所長)と独立行政法人理化学研究所 (野依良治理事長)は迅速かつ正確なDNA型判定システムの技術開発のため共同研究契約の締結をします。
 国民の「安全と安心」を確保するためには犯罪捜査において、より早くより正確に被疑者を特定することが必要です。
 科学警察研究所(以下、科警研)は、ゲノム上の繰り返し配列などの多型マーカー※1を用いて犯行現場における犯人の遺留資料のDNA型と被疑者のDNA型との異同識別を行ってきました。一方、理化学研究所遺伝子多型研究センター(以下、理研遺伝子多型研究センター)は、発足以来、一塩基多型(SNP)を用いた多型解析を行っており、精度の高いタイピングを高速に大量に行う技術と膨大な多型データベースを有しています。 
 本共同研究では、科警研の有する多型マーカーを用いた異同識別の経験、ノウハウおよび理研遺伝子多型研究センターのSNPタイピング技術※2を用いて、より簡便・正確・迅速な個人間の異同識別システムを開発することを目的としています。このシステムは、大規模な災害、事故等による被害者の異同識別にも応用が可能と考えています。
 科警研と理研は1月26日、共同研究契約を締結します。


1. 共同研究の趣旨
 本共同研究では、科警研が有するDNA型分析の経験およびノウハウと理研遺伝子多型研究センターのSNP解析技術とを組み合わせることにより、より迅速、正確な個人間の異同識別システムの開発を目指します。


2. 共同研究の概要
 近年、強盗、強姦等の重要犯罪が増加傾向にあるなど、治安情勢が悪化してきており、それに的確に対応するため、より効果的・効率的に犯罪捜査を行うことが必要となってきております。そこで、犯罪捜査上、被疑者の特定に特に有効なDNA型鑑定をより効率的に行うようにすることも今後の重要な課題の一つと言えます。
 本共同研究では、科警研(取健彦所長)生物第四研究室(笠井賢太郎室長)および理研遺伝子多型研究センター(豊島久真男センター長)オーダーメイド医療開発プロジェクトグループ(中村祐輔グループディレクター)のもと、統計解析研究チーム(鎌谷直之チームリーダー)、遺伝子多型解析チーム(大西洋三チームリーダー)、心筋梗塞関連遺伝子研究チーム(田中敏博チームリーダー)らが参画し、異同識別システムの開発を行います。このシステムは、大規模な災害、事故等による被害者の異同識別にも応用が可能と考えています。
 また、理研遺伝子多型研究センターは血液試料などから極めて簡便な方法でDNA型を判定する技術を有しており、科警研の経験、ノウハウを取り入れることにより、様々な試料を用いた判定が可能になると考えています。


3. 研究所概要
1) 科学警察研究所
 科学警察研究所は、科学捜査についての研究・実験及びこれらを応用する鑑定・検査、犯罪の防止及び少年非行防止についての研究・実験並びに交通事故の防止その他交通警察についての研究・実験を行っています。これらの業務対象は広汎にわたるため、生物学、医学、化学、薬学、物理学、農学、工学、社会学、教育学、心理学等の専門的知識・技術を有する研究職員が、それぞれの専門に応じた部門に配置され活動しています。
 また、都道府県警察や裁判所、検察庁から鑑定嘱託を受けたものについて、鑑定・検査を行っています。

2) 独立行政法人理化学研究所
 独立行政法人理化学研究所は科学技術(人文科学のみに係るものを除く)に関する試験及び研究等の業務を総合的に行うことにより、科学技術の水準の向上を図ることを目的とし、日本で唯一の自然科学の総合研究所として、物理学、工学、化学、生物学、医科学などにおよぶ広い分野で研究を進めています。当研究所は、特殊法人時代を経て、2003年(平成15年)10月に文部科学省所管の独立行政法人理化学研究所として再発足しました。
 研究成果を社会に普及させるため、大学や企業との連携による共同研究、受託研究等を実施しているほか、知的財産権等の産業界への技術移転を積極的にすすめています。


(問い合わせ先)

科学警察研究所 生物第四研究室 室長  笠井賢太郎

Tel: 04-7135-8001 / Fax: 04-7133-9159

独立行政法人理化学研究所 遺伝子多型研究センター
 オーダーメイド医療開発プロジェクトグループ
  グループディレクター   中村 祐輔

Tel: 03-5449-5372 / Fax: 03-5449-5433

  遺伝子多型解析チーム
  チームリーダー    大西 洋三

Tel: 03-5449-5785 / Fax: 03-5449-5786

(報道担当)

独立行政法人理化学研究所 広報室

Tel: 048-467-9272 / Fax: 048-462-4715
Mail: koho@riken.jp


<補足説明>
※1 多型マーカー
個人ごとの塩基配列の違いを多型といい、ゲノム上に存在する多型を目印としたものが多型マーカーである。1つの塩基の違いによる多型をSNP(single nucleotide polymorphisms)というが、SNPも多型マーカーの1つである。SNPはゲノムDNA上に300〜1000塩基対に1つ存在するため、30億塩基対から構成されているヒトゲノムDNAには少なくとも300万のSNPが存在することになる。他には、マイクロサテライトという、2〜5塩基の反復による多型マーカーもある。
※2 SNPタイピング技術
SNPの塩基配列を判別することをSNPタイピングという。遺伝子多型研究センターはMultiplexPCR法とInvader法のSNP解析技術を併用したSNPタイピング技術を開発している。遺伝子多型解析チームは1年間に約1億5000万から2億SNPのタイピングを行う能力を有している。

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