プレスリリース 株式会社島津製作所
凸版印刷株式会社
株式会社サードウエイブジャパン
独立行政法人理化学研究所
理化学研究所、凸版印刷(株)、(株)島津製作所が臨床現場で使用できる全血からの新規SNPs解析・診断に要する技術開発のための共同研究契約を締結
平成16年9月1日
 凸版印刷株式会社(足立直樹代表取締役社長、東京都千代田区)、株式会社島津製作所(服部重彦代表取締役社長、京都市中京区)及び独立行政法人理化学研究所 (野依良治理事長)は、理研遺伝子多型研究センターオーダーメイド医療開発プロジェクトグループの中村祐輔グループディレクターらが開発した一塩基遺伝子多型(以下、SNPs=single nucleotide polymorphisms)タイピングシステムをベースに、臨床現場で使用できる新規SNPs解析・診断に要する技術開発のための共同研究契約を締結します。
 本共同研究では、理研のMultiplex PCR技術をベースに凸版印刷(株)がSNPsタイピング技術に用いるSNPsチップの開発を行い、(株)島津製作所はPCR※1前処理試薬であるアンプダイレクト※2を用いた試薬開発を行ないます。更にサードウェイブテクノロジーズ,Inc(米国ウィスコンシン州マディソン市)が開発したインベーダー法※3を組合わせた全く新しい解析方法で、臨床現場でのオーダーメイド医療のためのSNPs検査の実現化(具現化)を目指します。さらに、オーダーメイド医療では診断と治療が表裏一体の関係であることと、世界同時創薬の動きが本格化しつつあることを考えますと、世界標準の診断法を目指さなければならないと考えています。今回のような世界的視野に立った産学協同体制を構築することで、その成果 が大いに期待されます。


1. 共同研究の趣旨
 本共同研究では、理研のMultiplex PCRとサードウェイブテクノロジーズ,Incが開発したインベーダー法を組合せた全く新しい方法で、臨床現場でのオーダーメイド医療のためのSNPs検査の実現化(具現化)を目指します。なお、本共同研究の推進により、凸 版印刷(株)は印刷およびエレクトロニクス事業で培ったコア技術である、表面 処理技術、超微細加工技術を大きな成長が見込まれるバイオ産業に活用し、新たな事業分野の構築を目指します。
  (株)島津製作所は、本共同研究を通じて、本格的な遺伝子診断事業の展開を行ないます。また両社とサードウェイブテクノロジーズ,Incは相互協力の下、事業の世界展開も目指します。


2. 共同研究の概要
 近年、患者個人の体質や病態、薬剤感受性をもとに薬の種類や量 を決定するなどの患者個人に適した医療(オーダーメイド医療)の実現を目指して、患者の薬物に対する応答性や副作用の発現と、ゲノムに存在する遺伝子のSNPsとの関係の解明が急がれています。
  本共同研究には、理研横浜研究所遺伝子多型研究センター(豊島久真男センター長)オーダーメイド医療開発プロジェクトグループ(中村祐輔グループディレクター)のもと、遺伝子多型解析チーム(大西洋三チームリーダー)、心筋梗塞関連遺伝子研究チーム(田中敏博チームリーダー)らが参画し、凸 版印刷(株)総合研究所(久野輝雄所長)、(株)島津製作所ライフサイエンス研究所(西村紀所長)が中心となり推進します。
  本共同研究では、凸版印刷(株)、(株)島津製作所、理研の有する特許とノウハウに基づいて、臨床現場においてDNAを精製することなく全血からの直接SNPs解析・診断を目指すことによって、オーダーメイド医療に向けて飛躍的に前進することが期待されます。


3. 各社概要
1)凸版印刷株式会社
  1900年創業、世界トップクラスの総合印刷会社。証券・カード、商業印刷、出版印刷、パッケージ、産業資材、エレクトロニクス、Eビジネス、オプトロニクスの8分野で事業を展開。現在、これら既存の事業を「情報・ネットワーク系」「生活環境系」「エレクトロニクス系」へと集約、進化させ、さらに「パーソナルサービス系」「次世代商品系」を加えた新事業領域で「情報コミュニケーション産業」の発展を目指しています。
2)株式会社島津製作所
  (株)島津製作所のライフサイエンス事業は、遺伝子とタンパク質解析における新しいメソドロジーの開発をもとに、遺伝子解析における「アンプダイレクト」やタンパク質解析における「NBS試薬」等の新規の「試薬」、DNAシークエンサーや質量 分析装置(MS)などの「解析機器」、これらの新しい試薬や機器を活用した「受託解析サービス」の提供によって、総合的な研究開発支援を行ってまいりました。さらには、最近これらの「試薬」や「機器」の診断市場への展開にも力を入れております。具体的には、遺伝子分野ではロシュ・ダイアグノスティックス社と共同で開発した血漿中のB型肝炎ウイルス(HBV)遺伝子抽出試薬が、同社の体外診断用医薬品である「アンプリコアHBVモニター」用として販売されています。また、タンパク分野においても疾患マーカの探索研究に着手しています。
3)株式会社サードウェイブジャパン
  Third Wave Technologies, Incは臨床現場の医師や研究者に、効率よく高精度な研究や診断のためのSNP解析のツールとしてInvader法を提供しています。
4)独立行政法人理化学研究所
  独立行政法人理化学研究所(理研)は科学技術(人文科学のみに係るものを除く。)に関する試験及び研究等の業務を総合的に行うことにより、科学技術の水準の向上を図ることを目的とし、日本で唯一の自然科学の総合研究所として、物理学、工学、化学、生物学、医科学などにおよぶ広い分野で研究を進めています。当研究所は、2003年(平成15年)10月に文部科学省所管の独立行政法人理化学研究所として再発足しました。研究成果 を社会に普及させるため、大学や企業との連携による共同研究、受託研究等を実施しているほか、知的財産権等の産業界への技術移転を積極的にすすめています。


(問い合わせ先)

独立行政法人理化学研究所 遺伝子多型研究センター
 オーダーメイド医療開発プロジェクトグループ
 グループディレクター  中村 祐輔

Tel : 03-5449-5372 / Fax : 03-5449-5433

 遺伝子多型解析チーム
  チームリーダー     大西 洋三

Tel : 03-5449-5785 / Fax : 03-5449-5786

(報道担当)

凸版印刷株式会社
広報本部 部長    生明 信夫

Tel : 03-3835-5636 / Fax : 03-3837-7675

株式会社島津製作所
社長室 広報・IRグループ(東京)
課長   五十嵐 多鶴子

Tel : 03-3219-5535 / Fax : 03-3219-5712

独立行政法人理化学研究所
広報室     駒井 秀宏

Tel : 048-467-9272 / Fax : 048-462-4715


<補足説明>
※1 PCR(polymerase chain reaction:ポリメラーゼ連鎖反応法)
遺伝子を増幅する代表的な方法。PCR法は二本鎖DNAの一本鎖への分離、目的とするDNA領域をはさんだプライマーの結合、DNA合成酵素によるDNA合成反応を繰り返すことによって、目的のDNA断片を一反応毎に倍加する方法。特に、1988年に耐熱性のDNA合成酵素が導入され、DNA増幅装置を用いて自動で目的とする遺伝子を増幅できるようになってから、PCR法は基礎から応用にわたる広範な分野で急速に普及した。もとの遺伝子を一時間程度で100万倍に増やすことができる。
※2 アンプダイレクト (Ampdirect)

生体由来の種々の物質が遺伝子の増幅反応を妨害するので、PCRを実施する前に生体試料(血液等)からDNAを分離・精製することが必須であった。島津製作所が7年程前に発見したこれらの増幅反応妨害物質の働きを抑える物質をもとにして、血液からDNAを分離・精製することなしに、血液直接添加でのPCRを実現したのがアンプダイレクト。
詳細:http://www.shimadzu-biotech.jp/reagents/amp/index.html

※3 インベーダー法(Invader(R) Assay)
米国サードウェイブテクノロジーズ社(ウィスコンシン州マディソン)が開発したCleavase(R)(DNA修復酵素のひとつ)を用いたSNP解析手法。簡便、高精度のSNP解析技術である。現在、理化学研究所の遺伝子多型研究センターで採用されている。
詳細:http://www.twt.com

その他補足説明

全血(血液)
血球(赤血球・白血球・血小板)および血漿からなる動物体内を循環する体液の一種。血球には遺伝情報を保持、発現する物質である核酸(デオキシリボ核酸:DNA、リボ核酸:RNA)が含まれている。
 
遺伝子診断(DNA診断)
遺伝病や癌、成人病などの疾患の原因となる遺伝子や医薬品への反応を決める遺伝子などの変化や有無の検査に基づいた診断法。
 
SNPs(一塩基遺伝子多型)
ヒトゲノムは30億塩基対のDNAからなるが、個々人を比較すると0.1%の配列の違いがあると見られており、これを多型と称す。遺伝子多型は遺伝的な個人差を知る手がかりとなるが、その大部分はSNPsで、そのタイプにより遺伝子をもとに体内で作られる酵素などのタンパク質の働きが微妙に変化し、病気のかかりやすさや医薬品への反応に変化が生じる。
 
オーダーメイド医療
SNPsとその表現型である体質の解析を通してSNPsのタイプと病気のかかりやすさや薬の効き方・副作用の表れ方などの関連を把握した上で、個人のSNPsタイプをもとに、個々人に適した医薬品の種類や量 、治療法を選択する医療。
 
プライマー (primer)
DNAを酵素的に合成する際に使用されるDNA断片。DNA合成はプライマーの3'-OH部分に合成酵素がDNAをジエステル結合する形で進む。このプライマーの選択次第で目的とする遺伝子のコピーの正確度や効率が決まる。
 
プローブ (probe)
DNA合成酵素により増幅された目的遺伝子を探り出すために用いられるDNA断片
 
チップ (Chip)
基板上に施した微細な流路の中で連続した化学反応を行なわせるなどの、微小環境での反応を実現するための極小の容器。検査時間の短縮、試薬量 低減によるコストの削減、装置の小型化など、臨床現場での検査には必須のもの。
 

 


 


 



 

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