プレスリリース 独立行政法人 理化学研究所
理研スーパー・コンバインド・クラスタにおいて実効性能で8TFLOPSを達成
平成16年4月21日
 独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)は、今年3月に導入した国内最大のLinux※1クラスタシステム(=理研スーパー・コンバインド・クラスタ※2、最大理論演算性能:12.4TFLOPS※3、2048CPU)において、LINPACK※4ベンチマークを実行した結果、8.029TFLOPSの実効性能を達成しました。この実効性能は、Linuxクラスタシステムとしては国内で第1位です。日本中の全システムを含めても、地球シミュレータ※5に次いで第2位となります。また、世界的に見ても4月15日現在で第9位にランクされる性能です。
 LinuxというOSを使い、クラスタシステムの性能が世界のトップレベルに達していることを示したもので、研究の効率化促進に役立つものと期待されます。


1. 概 要
 今年3月1日、理研情報基盤センターに導入したスーパーコンピュータシステム(理研スーパー・コンバインド・クラスタ:RSCC)の中のLinuxクラスタシステムは、1ノード2CPU(Intel Xeon 3.06GHz)で1024ノードから成る国内最大のLinuxクラスタシステムです。最大理論演算性能は12.4TFLOPSとなります。最大理論演算性能は単に設計値に過ぎず、実際の速度を保証するものではありません。実際にプログラムを実行した時の速度(実効性能)を測定するプログラムにLINPACKがあり、スーパーコンピュータでは世界中で最も良く使われています。このLINPACKで測定された実効性能の申告値を元に、Top500スーパーコンピュータリストがまとめられています。今回、理研で導入したRSCCで、この測定を行い、8.029TFLOPSという非常に高い実効性能を達成することが出来ました。世界的に見ると、4月15日時点で公表されている、LINPACKの順位(表1)では第9位です。昨年11月に発表されたTop500リスト(表2)にあてはめると、Linuxクラスタとしては国内1位であり、全てのスーパーコンピュータを合わせても、地球シミュレータに次ぐ国内2位となります。RSCCのLINPACK1TFLOPSあたりのコストを、Top500の上位にある国内の他のシステム(例えば地球シミュレータや宇宙航空研究開発機構のPRIMEPOWER HPC2500など)で推定して比べると、およそ1/4程度と価格性能比が優れていることが分かります。


2. 今後の展開
 今回のLINPACKの測定では、複数のネットワークで構成されたRSCCに合わせて、LINPACKプログラムを富士通が改良しました。今後は、富士通と共同で開発を行い、広域に設置されている他の計算機とRSCCとを接続し、より大規模な計算のより高い性能を目指しテストを行う予定です。


 (表1)4月15日付のJ.ドンガラ(J.Dongarra )博士による報告 ”Performance of Various Computers Using Standard Linear Equations Software”から抜粋した、LINPACKによる実効性能の順位(10位まで)

表1


 (表2)2003年11月のTop500リストのうち日本で導入されている上位の計算機

表2


(問い合わせ先)

独立行政法人理化学研究所 情報基盤センター
センター長 姫野龍太郎

Tel: 048-467-9321
Fax: 048-462-4634
先任技師 重谷 隆之

Tel: 048-467-9149
Fax: 048-462-4634
(報道担当)

独立行政法人理化学研究所 広報室

Tel: 048-467-9272
Fax: 048-462-4715
Mail: koho@riken.jp


<補足説明>
※1 Linux
リナックスと読む。ウィンドウズやマックOSと同じような基本ソフトウェア(OS)である。ソフトウェアの中身であるソースコードを公開している。
※2 理研スーパー・コンバインド・クラスタ:RSCC
理研情報基盤センターが導入した新スーパーコンピュータシステムの名称。RSCCは、2048CPUのLinuxクラスタシステム(総演算性能12.4TFLOPS)を中核に、単一プロセスで大量メモリが必要な計算用の大規模メモリ計算機(共有メモリ型ベクトル計算機NEC SX-7/32,主記憶256GB,282.5.GFLOPS)、利用窓口となるフロントエンド計算機、高速磁気DISK装置(20TB)、テープライブラリシステム(200TB)で構成されている。
Linuxクラスタシステムは、1ノード2CPU(Intel Xeon 3.06GHz)で1024ノードから成り、5つのセグメントで構成しています。最大のセグメントは512ノード1024CPUで、各ノード間をInfiniBand(双方向通信可能で片方向8Gbps)ネットワークで内部接続しています。残りのノードは128ノード毎に4つのセグメントを構成し、InfiniBand接続が1セグメントで、他の3つのセグメントはMyrinet(双方向通信可能で片方向2Gbps)ネットワークで内部接続しています。さらに、各ノードは通常のGigabit Ethernetでも接続され、セグメントを越えた通信も可能です。
RSCCは、遺伝子やタンパク質の構造・機能解析等のバイオインフォマティックス分野での利用を主眼としています。さらに、これまで行われていた流体計算や核物理、量子化学などのコンピュータシミュレーションや計算科学の計算も飛躍的に改善することが期待されています。
※3 FLOPS
Floating point number Operations Per Secondの略で、フロップスと読む。コンピュータの処理速度をあらわす単位の一つ。処理速度が1FLOPSのコンピュータは、1秒間に1回の浮動小数点数演算(実数計算)ができることを示す。大規模なシミュレーションや科学技術計算に用いる大型コンピュータの性能指標として用いられることが多い。
※4 LINPACK
LINPACK とは,米国のテネシー大学のJ.Dongarra 博士によって開発されたLU 分解による連立一次方程式の解法プログラムであり、スーパーコンピュータの世界的な順位を示すTop500リスト(毎年6月と11月に発表)を作成するためのベンチマークとして用いられている。
※5 地球シミュレータ
NECが開発した多目的型では世界最速(2003年現在)を誇るベクトル型並列スーパーコンピュータ。総プロセッサ数5120個、最大理論演算性能は40TFLOPSに及ぶとされている。コンピュータ内に仮想地球を作り、大気や海水、地殻の状態を高速かつ高精度にシミュレーションでき、中長期的な環境変動や災害などの予測、解明に使用される。また、バイオ・ナノなど先進分野でも利用されている。

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