プレスリリース 文部科学省研究振興局
独立行政法人 理化学研究所
国際ハップマップ作成プロジェクト(進捗状況)について
平成16年3月11日
平成14年10月に米国ワシントンDCにおいて開催された「国際ハップマッププロジェクト戦略会合」において、我が国を始め、米国、英国、加国、中国の5か国の協力によるハプロタイプ地図作成に向けた国際協力プロジェクトを開始することが合意されたところですが(別添1参照)、プロジェクト最終年度である平成16年度を迎えるにあたり、日本における本プロジェクトへの貢献について報告するものです。


1. 国際ハップマップ作成プロジェクト参画状況
 ヒトゲノム上の多型情報を医学応用していくために不可欠である、疾患感受性、薬剤に対する効果や副作用に関与する遺伝的要因を発見する上で役立つ研究ツールとなるハプロタイプ地図の作成に関する国際的な枠組みである「国際ハップマッププロジェクト」においては、理化学研究所遺伝子多型研究センターグループディレクター中村祐輔(東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長)を中心に、世界最高水準の速さ・正確さを誇る理化学研究所遺伝子多型研究センターにおけるSNPs解析能力を活用し、本プロジェクトに貢献しているところです。(各国分担:別添2参照)
 本プロジェクトでは、欧州人・アジア人(日本人を含む)・アフリカ人についてのハプロタイプ地図作成を目標としております。ヒトゲノム約30億塩基対全体を約5千塩基対毎に1SNP(一塩基多型)でカバーするとして、合計60万SNPを解析します。
 解析サンプルは一度米国の遺伝子材料配布センターであるコリエル研究所から各解析機関に配布される事となっています。欧州系白人については平成15年2月に配布され、現在我が国分担分である約11万2千箇所の解析結果をハップマップデータ収集センター(Data Cordinate Center:DCC)へ報告しました。なお、これらの解析を完了し報告されたSNPの中には一部、後に決定された国際ハップマップ作成上の基準を満たさないSNPが含まれていたため、これらのSNPを補完するSNPを選び、追加の解析につとめているところです。


2. 本プロジェクト成果の取り扱い
 本プロジェクトでは、プロジェクトによって生み出されたデータをユーザーが無償で迅速かつ自由に利用できる状態を確保するために、SNPの解析条件、対立遺伝子頻度と遺伝子型頻度に関する全てのデータは、DCCにより国際ハップマップホームページ(http://www.hapmap.org/)においてインターネット上で公開され、また、dbSNPデータベースに登録されています。登録データは、 前記ウエブ上でクリックラップライセンス契約を締結することにより アクセスできます。当該契約では、(1)ハプロタイプ地図完成まで の間は、本プロジェクト参加者を含めた全ての研究者が研究目的で、データに平等にアクセスできることを確保するため、契約者のデータ 利用に幾つかの制限を設ける、(2)地図完成後は制限無く全ての データを利用できる、こととしています。


3. 今後の予定
 本プロジェクトは、全世界の研究者が自由に活用できるハプロタイプ地図を作り出すことを目標としています。本プロジェクトは平成16年度中の完成が見込まれており、理化学研究所におきましても、着実な成果をあげているところです。
 今後、本データがダウンロードできる国際ハップマップホームページのミラーサイトを、科学技術振興機構において開設し、日本国内における本データの活用による更なる研究の推進を図るものです。
 なお、平成16年3月11日発売のNatureJapanにおきまして、当該プロジェクトが紹介される予定です。


(本件の問合せ先)

文部科学省研究振興局 ライフサイエンス課長 戸谷 一夫
がん研究調整官 奥村 二郎

Tel: 03-6734-4105
Fax: 03-6734-4109

理化学研究所 横浜研究所 遺伝子多型研究センター
オーダーメイド医療開発プロジェクトグループ 
グループディレクター 中村 祐輔

Tel: 03-5449-5372
Fax: 03-5449-5433
(報道担当)

独立行政法人理化学研究所 広報室

Tel: 048-467-9272
Fax: 048-462-4715
Mail: koho@riken.jp


<別添1>

ヒト遺伝子のハプロタイプ地図作成にかかる国際協力(国際ハプマップ計画)について
- 国際レベルでの産学連携プロジェクト -

 ヒトゲノム上の多型情報を臨床応用していくために不可欠なハプロタイプ地図の作成を日・米・英・中・加の協力により取り組むことが平成14年10月に開催された「国際ハップマッププロジェクト戦略会合」において合意されました。
 我が国からは、理化学研究所遺伝子多型センターの中村祐輔グループディレクター(東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター長)が研究代表者として本プロジェクトに参加しています。
 本プロジェクトでは、アジア人(日本人を含む)、欧米人、アフリカ人のそれぞれの人種について、各国より血液サンプルを収集するとともに、3年間かけてハプロタイプ地図の作成を実施することを目標とします。
(協力の背景)
1. ヒトの場合、各人がもっているゲノム(DNA)は、それぞれ0.1%ずつ異なっており、これらの一部が各個人の遺伝的特性を決定している。中でも、DNA上の一箇所(塩基)の違いである一塩基多型(SNPs)は、ヒトゲノム上最も数が多く、また、最も単純であることから、薬剤に対する効果・副作用や生活習慣病などの多くの疾患との関連性を解析するための有用な道具と考えられている。SNPを利用した研究は、オーダーメイド医療実現のための有効な方策である。
2. 我が国のSNPs解析能力は、世界最高水準(速さ・正確さ)であり、世界有数のSNPs解析データベースを保有している(現在約20万箇所のSNPsを遺伝子領域で特定、すでに約17万SNPのアレル頻度情報を保持)。他方、ヒトが有するSNPs総数は、数百万とも推定され、これら全てを対象として解析を進めることは、オーダーメイド医療実現のために効率的ではない。
3. SNPsについては、ゲノム上で近傍くに位置するものは一つのブロック(ハプロタイプ)で受け継がれていくことが明らかにされている。このため、個々のSNPを解析するのではなく、ブロック単位で遺伝子型を解析していくことにより全体の遺伝子型を効率的に把握することが可能となっている。
4. ハプロタイプ解析には、多くの時間と高い解析能力が必要であり、これらのために能力を有する機関が協力して取り組むことが重要である。
(協力の概要)
1. 参加国 日本、米国、英国、カナダ、中国
2. 概要 2004年末までに、ヒト染色体の90%以上をカバーするハプロタイプ地図を作成。
世界規模での血液サンプルを収集。(アジア人、アフリカ人及び欧米人を対象)
各解析機関は、染色体毎に分担し、ハプロタイプを解析。
解析結果については、その質について検査を行なった後、適宜DCCに送付される。
ハプロタイプ地図自体については、公開データとし、これらに関する特許は取得しない。但し、それらを用いて行なった研究の成果については、それぞれ当該研究を実施した機関が特許を自由に取得することができる。
(協力の開始)
平成14年10月27日〜29日に、米国において、各国の研究代表者、関係政府機関等が一堂に会し、協力開始のための会議を開催し、具体的な事項について合意した。
(我が国の体制について)
実施機関 理化学研究所遺伝子多型研究センター
研究代表者 中村祐輔グループディレクター
解析分担 別添2参照


<別添2>

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