プレスリリース 独立行政法人 理化学研究所
国内最大のLinuxクラスタシステムが運用開始
- 次世代大型計算機センターのモデルケース -
平成16年2月26日
 独立行政法人理化学研究所(野依良治理事長)は、総演算性能:12.4TFLOPS(テラフロップス)※1(2048CPU)を誇る国内最大のLinuxクラスタシステムを中核としたスーパーコンピュータシステムを理研情報基盤センターに導入し3月1日から運用開始致します。
 このシステムの総演算性能は国内では地球シミュレータ※2に次いで第二位となり、世界的に見ても10位以内にランクされる性能です。導入したLinuxクラスタシステムは、広く普及したLinuxサーバーを8Gbps※3の高速なインターコネクトネットワークで接続したもので、従来のスーパーコンピュータに比べ高いコストパフォーマンスを実現しています。
 これまでLinuxクラスタを利用するには高度な利用技術が必要であったため、部門単位やプロジェクト単位の利用に用途が限定されていました。そのため日本で最初に大規模Linuxクラスタを、大型計算機センターの中核マシンとして採用したモデルケースとして、内外から大きな注目を集めています。
 本システムは、Grid技術※4やWeb技術を駆使して構築されており、利用者はウェブブラウザを利用することで容易に利用可能です。また、本システムは、遺伝子やタンパク質の構造・機能解析等のバイオインフォマティックス分野での利用を主眼としています。さらに、これまで行われていた流体計算や核物理、量子化学などのコンピュータシミュレーションや計算科学の計算も飛躍的に改善することが期待されています。
 本システムは、日本原子力研究所、宇宙航空研究開発機構など6つの国内研究機関で進めているITBL(IT Based Laboratory)プロジェクト※5の計算リソースとしても提供する予定です。なお、3月1日(月)に新コンピュータシステムの披露式を行います。


1. 新スーパーコンピュータシステムの特色
 理研情報基盤センターに導入した新スーパーコンピュータシステムは、2048CPUのLinuxクラスタシステム(総演算性能12.4TFLOPS)を中核に、単一プロセスで大量メモリが必要な計算用の大規模メモリ計算機(共有メモリ型ベクトル計算機NEC SX-7/32,主記憶256GB,282.5.GFLOPS)、利用窓口となるフロントエンド計算機、高速磁気DISK装置(20TB)、テープライブラリシステム(200TB)で構成されています。このシステムの総演算性能は国内では地球シミュレータに次ぐ第二位で、世界的に見ても10位以内にランクされる性能です。
 Linuxクラスタシステムは、1ノード2CPU(Intel Xeon 3.06GHz)で1024ノードから成り、5つのセグメントで構成しています。最大のセグメントは512ノード1024CPUで、各ノード間をInfiniBand(双方向通信可能で片方向8Gbps)ネットワークで内部接続しています。残りのノードは128ノード毎に4つのセグメントを構成し、InfiniBand接続が1セグメントで、他の3つのセグメントはMyrinet(双方向通信可能で片方向2Gbps)ネットワークで内部接続しています。さらに、各ノードは通常のGigabit Ethernetでも接続され、セグメントを越えた通信も可能です。
 これまでLinuxクラスタを利用するには高度な利用技術が必要であったため、部門単位やプロジェクト単位の利用に用途が限定されていました。本システム(図1)では、Grid技術やWeb技術を駆使して、全てのシステムをウェブブラウザからの利用可能としています。さらに、今まで計算機センターの利用が少なかったバイオ分野の研究者が、容易に本システムを利用できるようにバイオインフォマティックスアプリケーション用のWeb上の窓口(ポータル)(図2、図3)を用意しています。また、Linuxクラスタ上で今までのプログラム資産が利用できるような環境を整備しています。
 同時に日本原子力研究所、宇宙航空研究開発機構など6つの国内研究機関で進めているITBLプロジェクトの計算リソースとしても提供する予定です。


2. 披露式の案内
 平成16年3月1日に新スーパーコンピュータシステムの紹介を兼ねて、「新コンピュータシステム披露式」を行いますので、ご案内申し上げます。

1. 日時 平成16年3月1日(月) 午前11時より
2. 場所 独立行政法人 理化学研究所
 中央研究所 情報基盤センター
3. 式次第 ご挨拶
テープカット
火入れ式
装置見学・説明会


(問い合わせ先)

独立行政法人理化学研究所 情報基盤センター
センター長 姫野龍太郎

Tel: 048-467-9321
Fax: 048-462-4634
(報道担当)

独立行政法人理化学研究所 広報室

Tel: 048-467-9272
Fax: 048-462-4715
Mail: koho@riken.jp


<補足説明>
※1 FLOPS
Floating point number Operations Per Secondの略で、フロップスと読む。コンピュータの処理速度をあらわす単位の一つ。処理速度が1FLOPSのコンピュータは、1秒間に1回の浮動小数点数演算(実数計算)ができることを示す。大規模なシミュレーションや科学技術計算に用いる大型コンピュータの性能指標として用いられることが多い。
※2 地球シミュレータ
宇宙開発事業団(現:独立行政法人 宇宙航空研究開発機構)と日本原子力研究所、海洋科学技術センターが開発した多目的型では世界最速(2003年現在)を誇るベクトル型並列スーパーコンピュータ。総プロセッサ数5120個、ピーク性能は40TFLOPSに及ぶとされている。コンピュータ内に仮想地球を作り、大気や海水、地殻の状態を高速かつ高精度にシミュレーションでき、中長期的な環境変動や災害などの予測、解明に使用される。
※3 bps
Bits Per Secondの略で、ビーピーエスと読む。通信回線などのデータ転送速度の単位。ビット毎秒。1bpsは1秒間に1ビットのデータを転送できることを表す。1kbps(1キロbps)は1000bps、1Mbps(1メガbps)は1000kbps(100万bps)である。
※4 Grid技術
ネットワーク環境下の計算機やストレージ等の資源や情報を、所有する組織をこえて、安全に・安定して・情報サービスを享受できる基盤技術。この技術により、異機種間接続環境が可能となり、大規模な仮想計算機をひとつのシステムとして利用することができる。
※5 ITBLプロジェクト
国内研究機関の所有する計算資源(スパコン、ソフトウェア、データベース等)を大容量ネットワーク上で共有化して、高度なシミュレーション等を行う仮想研究環境を構築する計画。


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