| ※1 |
機能アノテーション(機能注釈) |
| 機能アノテーションとは、解析対象である遺伝子について機能の注釈付けを行うこと。例えば、既知遺伝子塩基配列情報とのホモロジー(類似性)解析、遺伝子産物であるタンパク質のモチーフ(2次構造あるいはそれらの組み合わせの構造)解析、遺伝子の属性分類等の方法で注釈付けを行う。 |
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| ※2 |
シロイヌナズナ(図4) |
| 学名はArabidopsis thaliana L. Heynh.でアラビドプシスともいう。全長約30〜40 cmのアブラナ科1年生草本植物。食用でも観賞用でもない、いわゆる雑草である。実験室内では約2か月で次世代の種子をつけることが可能なことから、シロイヌナズナはモデル高等植物として植物の遺伝子の機能解析に幅広く用いられている。さらに研究材料として非常に優れているという特徴だけでなく、シロイヌナズナを用いた研究環境が国際的に非常にオープンで種々の研究材料や情報が利用できる点にもある。具体的には、(1)植物体が小さく、生育が容易で、生活環が2か月と短いなど遺伝学的研究に利用しやすい、(2)ゲノムサイズが高等植物で最小である、(3)国際的共同研究体制が確立しており、ゲノム、遺伝子、変異体材料などのリソースセンターが存在する−などがあげられる。 |
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| ※3 |
完全長cDNA |
| cDNAとは、ゲノムDNAの中から不要な配列を除き、タンパク質をコードする配列のみに整理された遺伝情報物質であるmRNA(メッセンジャーRNA)を鋳型にして作られたDNAのこと。完全長cDNAは、断片cDNAと異なり、タンパク質を合成するための設計情報をすべて有している(図5)ため、タンパク質を合成することができる。この完全長cDNAを効率的に合成するためには、非常に高い技術を必要とし、わが国が世界に先んじている。(図6) |
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| ※4 |
高密度シロイヌナズナ全ゲノムアレイ(図7) |
| シロイヌナズナの全ゲノム配列に関して、対応する25-merのオリゴヌクレオチド(25塩基からなる短いオリゴDNA)を約1,000万個用意し、それらを基盤上に貼り付けたマイクロアレイ。全ゲノムの約94%をカバーするものを世界に先駆けて作製した。 |
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| ※5 |
世界最高密度の遺伝子発現地図(図8) |
| 本研究で得られた完全長cDNAおよび全ゲノムアレイ解析で同定された発現遺伝子などの、これまでに転写されている事が確認された遺伝子をシロイヌナズナゲノム上にマッピングさせて作製した地図のことをいう。シロイヌナズナでは、2000年12月に全ゲノム配列が決定され、ゲノムサイズは約1億2,500万DNA塩基対、全遺伝子数は約26,000種存在することが予想された。本研究で、シロイヌナズナの全ゲノム配列に関して、対応する25-merのオリゴヌクレオチド(計約1,000万個)を用意しそれらを基盤上に貼り付けた高密度シロイヌナズナ全ゲノムアレイ(※4参照)を世界に先駆けて作製し、植物組織より調製したRNA由来の4種類のプローブとハイブリダイゼーションさせることにより、シロイヌナズナゲノムにおいて約2万種の発現遺伝子領域の存在を明らかにした。その結果、高等植物では世界最高となる6 Kb/個という密度であることがわかり、単離した約11,600個のシロイヌナズナ完全長cDNAのゲノム上の位置も明らかにした。 |
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| ※6 |
SSPコンソーシアム |
| Salk Institute (プロジェクトディレクター:J. Ecker博士)、Stanford Genome Technology Center (プロジェクトディレクター:R. Davis博士)、Plant Gene Expression Center(プロジェクトディレクター:A. Theologis博士)の3つの研究グループからなる。植物ゲノム機能情報研究グループは、SSPコンソーシアムと約3年前よりシロイヌナズナ完全長cDNAの全長塩基配列決定などに関する共同研究を行ってきた。 |
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| ※7 |
発現遺伝子 |
| ゲノム配列解析プロジェクトが種々の生物で進められており、さまざまなコンピュータプログラムを用いて遺伝子の存在が予測されている(コンピュータにより存在が予測された遺伝子を予測遺伝子という)。しかしながら、コンピュータによる予測のみでは正確な遺伝子領域を特定することが難しいことが本研究も含めて最近幾つか報告されている。コンピュータによる予測ではなく、実際に、1) cDNAとして単離されている、2) DNAアレイを用いた解析により遺伝子発現が確認されている、など転写されていることが実験的に確認されている遺伝子を発現遺伝子という。 |
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| ※8 |
部位特異的組み換えシステム |
| 本研究グループが構築した迅速なタンパク質発現・機能解析システムでは、Cre-loxPの部位特異的組み換え反応(Creリコンビナーゼにより2つのloxP部位において組み換えを起こす反応)を利用している。このシステムでは、最初に目的遺伝子のORF断片を含むUクローンを構築しさえすれば、制限酵素やリガーゼを用いなくてもORF断片を挿入方向と読み枠を維持させたまま種々のタンパク質発現ベクターへ移すことができる |
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| ※9 |
ORF(Open Reading Frame)領域 |
| アミノ酸を指定するコドン(タンパク質のアミノ酸配列を規定するための情報をもつ3つの連続した核酸塩基の配列)がある程度長く連続したDNA配列のことである。ORFの検索によりタンパク質をコードするDNA塩基配列を見出す事ができる。 |
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| ※10 |
PCR |
| ポリメラーゼ連鎖反応のこと。現在の遺伝子研究に必須のひとつで、微量のDNAを短時間で100万倍ほどに増やすことができる。 |
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| ※11 |
pUNIベクター |
| 本研究グループが構築した迅速なタンパク質発現・機能解析システムにおいて、ORF断片 を挿入するためのベクター。ベクターの中に、Creリコンビナーゼにより認識されるloxP部位が1個存在している。ORF断片をこのベクターに挿入したUクローンを構築しさえすれば、部位特異的組み換え反応を用いることにより制限酵素やリガーゼを用いなくてもORF断片を挿入方向と読み枠を維持させたまま種々のタンパク質発現ベクターへ移すことができる。(参) Liu. et al. Current Biology (1998) 8:1300-1309. |
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| ※12 |
トランスクリプトーム解析 |
| 1つのゲノムまたは特定の細胞・組織・器官の中で生産される転写産物全体をトランスクリプトームという。近年、DNAマイクロアレイなどを用いた遺伝子発現解析システムが開発され、トランスクリプトームの解析が可能になった。 |