理化学研究所(小林俊一理事長)は、東京大学分子細胞生物学研究所と京都大学大学院理学研究科との共同で、リポタンパク質の輸送に重要な役割を果たしている2種類のタンパク質の立体構造を決定し、タンパク質によるタンパク質の運搬のメカニズムを分子レベルで解明することに世界で初めて成功しました。理研播磨研究所理論構造生物学研究室の竹田一旗協力研究員、三木邦夫主任研究員ら、東京大学分子細胞生物学研究所の徳田 元教授らの研究グループによる成果です。この研究は、我が国で推進している「タンパク3000プロジェクト」(個別的解析プログラム)の重要な成果の一つです。
研究グループでは、大腸菌のリポタンパク質※1の輸送に重要な役割を果たしている2種類のタンパク質LolAとLolBを結晶化し、大型放射光施設SPring-8を利用してX線結晶構造解析※2し、その立体構造を決定することに成功しました。その結果、2つのタンパク質は非常によく似た基本構造を持ち、溶液に溶けないリポタンパク質の脂質部分を捕捉し輸送するために都合の良い袋状の構造を備えていることがわかりました。
今回のLolAとLolBの構造決定は、生命活動において普遍的なタンパク質輸送の分子レベルの解明に大きく寄与し、病原性のグラム陰性細菌を特異的なターゲットとした抗生物質の開発にもつながるものと期待されます。本研究成果の詳細は、欧州分子生物学機構(英国)の学術雑誌,『The EMBO Journal』(7月1日号)に掲載されます。 |