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Bリンパ球の細胞表面上に発現している抗原レセプター(BCR)は多様な外界進入物、例えば細菌・ウイルス成分、を認識して免疫系全体を活性化する司令塔のような役割をしています。事実BCRを欠損させると末梢のB細胞の数が激減するため、B細胞の分化にはBCRが細胞表面に発現してシグナルを細胞内部に伝達することが必須であることがこれまでに示されていました。しかし、細胞内シグナル分子をどのような制御機構で用いているか、という分化のメカニズムについては不明な点が多く残されており、その本質を明らかにすることは免疫基礎研究にとって極めて重要な課題でした。
分子自身はシグナル分子として酵素活性を有しないが多種のシグナル分子と結合することによりシグナルの“場”を作るアダプター分子の機能が近年注目を浴びています。本研究で用いたアダプター分子BCAP※1は、岡田、黒崎らが2年前に世界に先駆けてBリンパ球特異的アダプター分子として単離・同定に成功した分子です。(Immunity, 13, 817-827, 2000)。
BCAP分子を欠損したマウスではB細胞の最終分化に障害が起きますが、何故このような障害が引き起こされるのかは疑問のまま残されていました。本研究では、細胞内シグナルの詳細な検討を行い、BCAPが核内転写因子c-Relを制御しているというコンセプト提出に至りました。 |