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アクチン・ダイナミックス |
| アクチンは細胞中に最も多量に含まれているタンパク質の1つであり、進化の過程で最もよく保存されているタンパク質でもある。つまり、多数の重要な機能を担うために変異することが許されなかったと言える。アクチンは、もともと筋収縮を担うタンパク質として筋肉中に発見された。その後、あらゆる細胞に存在し多くの機能を担うことが分かってきた。アクチンは単量体が数珠つなぎになって多量体(アクチンフィラメント)を形成する。それまでは細胞中にアクチンフィラメントがひっそりと足場のように存在すると考えられていたが、最近になって(1990年代後半)、細胞中ではアクチンフィラメントの形成と崩壊が速い速度でひっきりなしに起こっていること、細胞の速い運動がアクチンフィラメントの形成と崩壊からなる分子運動によって駆動されていることが解明されてきた。この分子運動を「アクチン・ダイナミックス」(M.F.Carlierら、1993年)と称する。CapZを含むキャッピング・プロテイン(CP)は、「アクチン・ダイナミックス」に不可欠なタンパク質の1つである。アクチンフィラメントの数が増えすぎると、一本あたりの伸長速度は遅くなり、その結果、細胞の運動も遅くなる。CapZでアクチンフィラメントの端を塞ぎ、フィラメントの伸長が数少ないフィラメント端でしか起きないようにする。こうして細胞の速い運動が可能になる。 |
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多波長異常分散法 |
| X線の波長を変えられる放射光を使って、波長に依存した原子のX線散乱の変化に基づいて解析する方法。これまでは、原子量の大きい金、白金、水銀などでラベルした質のよい結晶が複数種必要だったが、この方法ではただ一つのラベルされた結晶を使った解析が可能になる。ただしこれによって測定できる信号は微少なため、これまでの方法よりも数段も精度の高い測定が必要となる。 |
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Å(オングストローム) |
| 一般的には長さの単位を示す。1オングストロームは1 ×10-10メートル(= 0.1ナノメートル)。X線結晶構造解析においては、高次構造の解像度を示す単位として用いられる。数字が小さいほどより高解像度の立体構造であることを示す。 |
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X線回折強度データ |
| 結晶などにX線を照射して測定されるデータ。このデータをもとに結晶内に含まれる分子の立体構造を決定できる。 |
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疎水性 |
| 水分子との親和性の低い(なじみにくい)性質。逆に水分子との親和性の高い(なじみやすい)性質を親水性という。タンパク質を構成するアミノ酸には疎水性の性質を持つもの、親水性の性質を持つものそれぞれが存在し、タンパク質分子中において疎水性(または親水性)の残基が部分的にまとまって疎水性部分(または親水性部分)を形成していることがしばしば見られる。 |