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理化学研究所(小林俊一理事長)は、DNAから遺伝情報を伝達する途上のタンパク質の立体構造を原子レベルで決定し、その分子機構を明らかにしました。理研播磨研究所細胞情報伝達研究室の横山茂之主任研究員、Dmitry
G. Vassylyev副主任研究員およびSUNY Health Science
Center(米国)による研究グループによる成果です。
RNAポリメラーゼは、DNAの遺伝情報をmRNAへと転写する反応を直接担っている重要なタンパク質です。研究グループは、バクテリアに感染するウイルスの一種であるT7ファージ由来のRNAポリメラーゼ(T7RNAポリメラーゼ)と、DNA:RNAハイブリッド分子との複合体の結晶構造を、大型放射光施設SPring−8の理研構造生物学ビームラインを用いて分子レベルで決定しました。その結果、T7RNAポリメラーゼは、DNA:RNAハイブリッド分子と結合することによって、構造を大きく変化させ、新しくmRNAの通過孔が形成されることが分かりました。この構造は、DNAからmRNAへの転写反応の途上の分子動態を反映しているものと考えられます。
RNAポリメラーゼは、わが国で推進している「タンパク3000プロジェクト」として解析する重要なタンパク質に位置づけられています。転写反応に関わるメカニズムが、原子レベルで解明されたことは、遺伝情報の伝達の仕組みを解明する上で重要な知見を与えるだけでなく、抗生物質や活性制御物質が転写部分で作用する機構を明らかにし、効果の高い新薬の開発も可能になると期待されます。
研究成果の詳細は、英国の科学雑誌『nature』のウェブサイト上のアドバンスト・オンライン・パブリケーション(AOP・10月9日付)に掲載されます。
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