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理化学研究所(小林俊一理事長)は、プラナリアを用いて、全能性幹細胞(万能細胞)が頭部以外で脳の神経細胞に分化しないように制御している遺伝子を発見しました。発生・再生科学総合研究センター(竹市雅俊センター長)進化再生研究グループの阿形清和グループディレクターらの研究グループによる研究成果です。
今回の研究では、研究グループのメンバーである国立遺伝学研究所の遺伝情報分析研究室(五條堀孝教授)の中澤真澄博士らが単離した、プラナリアの頭部に特異的に発現する遺伝子(ndk遺伝子)に注目し、解析を行いました。その結果、ndk遺伝子が未知の脳の誘導因子を捕まえては万能細胞に提供していることが分かり、万能細胞を脳の神経細胞に積極的に導く新しい遺伝子であることが判明しました。すなわち、ndk遺伝子の産物は、頭部の万能細胞に脳の神経細胞になることを促進するとともに、脳の誘導因子が頭部以外の部分には拡散しないようにする一人二役の働きを持っており、プラナリアは、頭部に必ず脳を再生するよう制御していることを世界で初めて明らかにしました。さらに、科学技術振興事業団・東京大学の平良眞規助教授らによって、プラナリアndk遺伝子は、カエルの初期胚においても似たような働きをすることが証明されました。
これらの成果は、全能性幹細胞を用いた再生医療の重要な基礎研究成果であり、今後の研究の展開次第によっては、ヒトの万能細胞から脳の神経細胞を作り出せる可能性を秘めており、再生科学に多大な貢献をもたらすものと期待されます。
本研究成果は、英国の科学雑誌『nature』(10月10日号)に掲載されます。
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